房総半島の海洋ロマン。黒潮に挑む漁師を描く「海」 【キャビンの棚】
いくつになっても、見知らぬものにふれた海の時間は刺激的なものです。はじめて見つけた海の生き物、そして絶海の孤島や海底に眠る沈没船などは少年時代に憶えたあのワクワク感を呼び起こしてくれます。ネットで色々と知れてしまう現代でも、なぜか海はロマンを感じさせるもの。大人になったいま、そんな気持ちになれる機会はめっきり少なくなったのではないでしょうか。
そこで今回オススメしたい本が、近藤啓太郎の「海」(旺文社/1977年)。本作は、もともと漁師の手伝いをしながら小説をかきはじめた