大海原に浮かぶ小さな私に気づいて!小型船舶に搭載必須の「レーダーリフレクター」 【海の道具】
うろ覚えで申し訳ないのですが、昔見た映画で、漂流したボートがアルミホイルを幟のように掲げて他の船に気づかれるようにしているというシーンがありました。それとは真逆で、誘導ミサイルにロックオンされた戦闘機がアルミ金属片をばら撒いてミサイルから逃れるシーンも見た覚えがあります。
どちらもアルミがレーダー波に強く反応する特性を活かした挿話です。
そんなことを思い出したのは、ボートの法定安全備品を眺めていたときのことです。小型船舶には「レーダーリフレクター」というものの搭載が義務付けられていますが、これは本船などが照射しているレーダー波に強く反応させるための道具です。構造は単純で、直径40㎝程の丸い円盤を十字にクロスさせたような形をしていて、表面にアルミが貼られています。そんな小さなもので役に立つのかと思いますが、レーダー波の情報を映したディスプレイで見ると、かなり大きく反応する、らしいのです(すみません、実際に見たことないので)。 ボートのなかにはハル(艇体)の素材にアルミを使用したものもありますが、さぞかし強く反応するのでしょうね。
客船やタンカーなどが行き来する航路では、20~30フィートのボートととなると、とても小さな存在で、大型船の艦橋から眺めていてもなかなか目に留まりません。ましてそれが夜間ともなれば、航海灯などまことに心細いものです。
大型船の航海士は目視でもワッチ(見張り)をしますが、レーダーなどの航海機器で周囲を警戒することも多いのです。人間の目に触れることよりも、機械の目に触れることの方が安全に寄与するということなのでしょう。もちろん、安全を見渡す目は、人機を問わず、多いに越したことはありません。