勇気を持って作ってみたら、最高峰のスープが出来上がった。 【レシピ-船厨】
世界中のあちらこちらにはローカルフードなどと呼ばれるものがありますが、最もわかりやすいのはスープかもしれません。タイといえばトムヤンクン、フランスはブイヤベース、北米東海岸のクラムチャウダー、イタリアのミネストローネ。中国のフカヒレスープも忘れてはなりません。あまり知られていないと思いますが、パナマにはサンコーチョというスープがあって……唐突でしたが、これも美味い。
ここにざっと書いたスープはすべて魚介を使っていますね。海ってすごい。
日本の味噌汁も忘れてはなりません。まもなく迎える正月にみなさんが口にするはずの雑煮も、いってみればスープです。
実はお雑煮のことを考えているうちに、何かスペシャルなスープを食べてみたくなりました。そして、元は編集者であり、料理家でもある有元葉子さんによる20年ほど前の料理本を見ながら作ってみたのが、この金目鯛(キンメダイ)のココナッツミルクスープです。そう、キンメダイのくせにエスニックなんです。
とにかくレシピを見ながら作ってみたところ、そこそこ簡単なのに、これまで食した中で最高峰ともいえるスープが出来上がりました。パンチがあるのに味わい深い。なんと白飯にもよく合います。アジアの中に日本がある、まさしくそんな味です。これを勧めてくる有元さんのセンスに脱帽なのです。
このスープを食べながら思ったのは、やはり決め手は「キンメダイ」なのだということです。だって、キンメダイ以外の具材は使っていませんから。海辺の食堂に行くと、大抵はメニューに値段が書いていない ─、キンメダイはそんな魚です。ここで使ったキンメダイもけっこう根が張りました。
安全に行こうとすれば刺身や煮付けにしたくなるところで、エスニック料理に進み往くのは、庶民として勇気が必要です。でも思い切って、この高級魚をエスニックなスープの具材にしたおかげで、素晴らしい味に出合えました。
お薦めです。下記に4人分の分量として掲載しましたが、食いしん坊が集まるとおかわりが充分にできず、足りなくなるかも。分量はお好みで。