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これを使いこなすのもシーマンシップ〜「パドル」と「オール」 【海の道具】

 ボートを漕ぐための道具には「櫂(かい)」がありますが、英語ではこれを使い方によって「オール=oar」と「パドル=paddle」とに呼び分けています。オールといえば、公園の池などで使う手漕ぎボート用がもっともなじみ深いですかね。要するに船縁に支点がついていて後ろ向きに漕ぐための道具です。また、最近ではカヌーやカヤック、サップなどもよく見かけるようになりましたが、こちらは櫂を自由に手で持ち、前を向いて漕ぐときに使用する。これがパドル。大雑把ですが、だいたいこんな感じです。

 パドルにしろ、オールにしろ、その構造は単純で、柄の先に水掻きが付いているだけなのですが、これもまた、その道の人たちにとってはなかなか薀蓄の深いもののようです。まず、こだわりが強く、重要視されるのは水掻きの部分。安直なものは前面も後面もなく、同じ形をしていますが、競技用のボートのパドルやオールともなると、より水を受け止めやすいように先端が内側に湾曲していたり、左右の形状が違ったり、水掻きを支える骨の部分が厚くなっていたりと、それはもう、様々な工夫が施されているのです。

エンジンもセールもないボートにとっては、唯一の動力を得る道具なのだから、それはこだわりも出てくるでしょう。当然ながら、「柄」だってないがしろにはできません。先端がグリップしやすいようにT字型になっていたり、ゴムなどの滑り止めがついていたりすることもあります。

 それにしても、手漕ぎボートのオールを上手に操るのって、なかなか難しくありませんか?
 左右が同じように水を搔かないと真っ直ぐ行ないし、速くも進みません。下手をすると、同乗者に水をぶっかけてしまってふくれっ面をされたりします。その代わり、うまく操れると、思った以上にすいすいと進み、下手くそで同じ場所をくるくる回っているボートを横目に優越感に浸れたりもします。

 そうそう。桟橋のないヨットの泊地などでは、陸からハーバー共用の小さなテンダーボートに乗ってヨットに乗り込むのが常です。しかも、そのテンダーボートを漕ぐときに使うパドルは1本だけのことが多いのです。1本のパドルを使って、どこまでテンダーボートを乗りこなすことができるか。─ これもシーマンシップのひとつで、ヨット仲間から一目置かれたりします。

 車の運転が上手いより、こちらの方がカッコいい!……かもしれません。練習しましょうかね。


ヤマハボート


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