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春の風の中、小中高生が躍動したセーリングレガッタ 【We are Sailing!】

 2020~2022年の3年間、中止となっていた「第31回YMFSセーリングチャレンジカップ」が、3月19~21日の3日間、静岡県の浜名湖を舞台に開催されました。小学生から高校生までのいわゆるジュニア・ユース世代を対象にしたこの大会は、公益財団法人 ヤマハ発動機スポーツ振興財団が主催しているもので、1993年に第1回大会が開催され、以来数多くの「世界で闘う」セーラーが輩出してきた伝統ある大会です。

ILCA6クラスのスタートシーン

 参加している選手の大半は、全国のジュニアヨットクラブなどに所属している小・中・高校生たちです。セーリング競技の大変なところは、競技に使用するレース艇を自分たちで大会会場まで運ばなければならないことです。高校や大学のヨット部の場合はクラブでまとめてトラックで運搬することが多いようですが、ジュニアヨットクラブの場合は保護者(多くの場合父親)が自家用車のルーフキャリアに載せて運んでいるケースが多いようです。一人乗りクラスであっても60kg近い艇体をルーフキャリアに載せて移動するのは重労働です。

参加者は小学生から高校生まで

 そんな背景もあって、ジュニア対象のレガッタが開催されるヨットハーバーには選手とほぼ同数の保護者が存在することになります。レース当日の朝、出艇許可を告げる国際信号旗の『D旗』が掲揚されると子どもたちは一斉にレース海面へと出航していきます。レースが終了して子どもたちが戻ってくるまで、お父さんたちはヨットハーバーで待つことになります。その間のお父さんたちの過ごし方はそれぞれで、高性能の双眼鏡でレース海面の状況を見守る人もいれば、持ち込んだ折りたたみ椅子でひたすら昼寝のお父さんもいます。

 この季節の浜名湖はヨットレースに適した風が吹き、例年であれば10m/sを超える強風が吹くことが多く(今年は4~5m/sの軽風でしたが)、強風を期待して参加する選手も多い大会です。

例年の強風は吹かず、終始穏やかな風の中でのレースとなった

 浜名湖の周辺には風を遮るような山はなく、風向が安定した浜名湖はヨットレースには最適なロケーションです。予期せぬ突風が吹き荒れたとしても、陸に囲まれた湖ですので沖に流されて行方不明となることはありません。実際、過去の大会でもレース艇が一瞬にして吹き倒されるような突風に見舞われたことがありますが、浜名湖に精通した運営スタッフは迅速に選手だけを救助し、突風が収まってから海面に置き去りにされた艇体を回収して事なきを得たというケースもありました。安全な浜名湖というロケーションもあって、子どもたちを連れてくるお父さんたちも安心してヨットハーバーで待つことができるのです。

 レースは小学生、中学生を対象にしたOP初級(参加5艇)、OP上級(参加20艇)、中学生、高校生以上が乗るILCA4級(参加18艇)、ILCA6級(参加19艇)、420級(参加4艇)の全5クラスで行われました。

小中学生を対象にしたインターナショナルクラスのOP(オプティミスト)級。
初心者クラスを設け、レース体験の機会を提供した

 大会の最終日は飛び石連休の最終日(春分の日)。きれいに洗った艇体を再びカートップキャリアに載せ、ハンドルを握ったお父さんたちは渋滞の待つ高速道路へ。渋滞に捕まる前に早めの夕食をとろうと入ったサービスエリアで、レガッタの反省会をしている親子の姿が目に浮かびます。 

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