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「至高の銀杯」のお値段 【海の博物誌】

 どんなレースでもスピードを競い、順位を争うこと自体が楽しいものですが、勝者に与えられる賞もまた華やかなムードを盛り上げる要素の一つです。

 数あるヨットレースの中でも世界最高峰のヨットレースとして知られるアメリカズ・カップ・ヨットレースは、1851年に始まりました。その歴史の中で、レースのレギュレーションや使用するレース艇は、時代とともに見違える変化を遂げていますが、そのなかで変わらないものもあります。それが勝者に与えられる賞典です。

 それは、高さ70センチ、重さ4キログラムの銀製のトロフィー(いわゆるアメリカズ・カップ)。1851年に100ギニー(ギニーは当時のイギリスの通貨の単位)で作られたといいます。単純に現代の通貨に換算することは難しいのですが、現代の日本人の感覚では50〜60万円ぐらいでしょうか。アメリカズカップは莫大な資金を使い、挑戦するレースなのに、勝者はこのカップ以外、得るものがないのです。ただし「栄誉」を除いては。そしてその栄誉には計り知れない価値があります。
 このカップが「至高の銀拝」と称される所以です。

 今でも、アメリカズ・カップは世界の注目を集める一大イベントとして、参加者(カップ防衛側、挑戦側とも)、スポンサー、開催地の人々が魅力を感じるレースとなっていますが、このカップがあるからこそ170年以上の伝統を維持してきたのです。

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