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張り詰めた心と体を癒やす海。 【社員紹介- 私が海を愛する理由】

 広島県の向島むかいしま本州・尾道の市街地とは橋で結ばれ、本州側からしまなみ海道を行くとき、最初に渡ることになる、風光明媚な島です。橋だけでなく、現在も通勤や通学の足として使われている渡船があって、それは美しい島の風景の一部になっています。
 そして、中世に瀬戸内の海を支配した海賊衆“村上水軍”の拠点があり、現在は造船の島としても知られます。豊かな自然ばかりか、日本の海や船の歴史・文化をも垣間見ることのできる、とても魅力的な瀬戸内海の島です。

 槇瑛人さんが海を語るとき、この島での体験は欠くことのできない物語です。

 槇瑛人さんは、ヤマハ発動機の社員として、2023年からジャパンラグビー リーグワン“静岡ブルーレヴズ”に所属する現役のラガーマン。

静岡ブルーレヴズの槇瑛人さんは2000年生まれ。リーグワンのディビジョン1では
初のアーリーエントリー(大学卒業前にリーグワンでプレーできる制度)での出場を果たした

 大学時代に複数チームから誘いがありましたが、チームに感じた魅力だけでなく、臨時コーチとして早稲田の練習に来ていたヤマハ発動機の先輩(曽我部佳憲さん/マリン事業本部)から、“これ、業務で釣ったんやで”と見事なマダイ釣りの動画を見せられ、“仕事で海に関わることができるかもしれない”と期待して、ヤマハ発動機への入社とブルーレヴズへの加入を決意。現在、社業ではマリン事業本部サービス部に配属されています。
 出身は岡山県。3歳の時に両親とともに神奈川県に移り住み、幼少期からラグビースクールに通っていました。

 「尾道の向島は父の実家で、祖父母と叔父夫婦が住んでいて、子どもの頃はもちろん、今でもよく行っています。高校生になるまでは向島に行くと、歩いて二分ぐらいの所にある砂浜でダッシュをやらされていました(笑)。父と母がふたりとも実業団の陸上の選手だったんです」

 槇さんにとっては砂浜ダッシュも楽しい思い出のひとつ。そして向島で何よりも楽しみにしていたのが、ボートで海に出て行くときの時間でした。

少年時代。向島での楽しいひととき

 「叔父と父とでボートを持っていて、子ども頃から一緒に連れて行ってもらっていました。釣りをしたり、素潜りでヤスを使ってタコを捕まえたり。タコがヤスの先に足を絡ませて、それを引っぺがすのが最高に楽しいんです。遊びだけじゃなくて、向島に行くたびに僕らが釣ってきた魚をさばいてくれて、叔母が美味しいご馳走を作って出してくれる。それもすごく楽しみなんですよ。この前のゴールデンウィークにも行ってきたばかりです。最終的にはこの島で自給自足の生活がしたいなんて思っちゃいます」

目が覚めて、海に行くまでの時間が好き

 槇さんが通っていた國學院久我山高校、早稲田大学はともに屈指のラグビーの名門校。学生時代は学業とラグビーに明け暮れる日々でしたが、それでも向島で覚えた釣りの楽しさは、槇さんを捉えて放しませんでした。

 「練習が終わって寮に帰ると、ついつい釣り系のYouTubeを見てしまうんです。これ楽しそうだな、釣れそうだなと思ったら居ても立っても居られなくなる。最初のうちは練習がオフの日に一人で三浦海岸や城ヶ島(いずれも神奈川県)まで釣りに行っていました。しばらくすると、一緒に行く仲間も現れて」

 話しを聞くこちらは、早稲田のラグビー蹴球部ともなると、毎日練習していて休みなんて無いものと思っていました。

 「そんなことないですよ。大学時代も1週間オフが年に2回はありました。普段は月曜日が休みということが多かったですね。僕の大学時代はコロナで講義はがほとんどネットで、キャンパスに行く機会がそれほどありませんでしたが、その分、自由な時間も作れました。
 釣りに行く前の日は興奮して眠れなくなったりして。まるで子どもの遠足です。釣りをしている時間も好きですが、釣り場に向かうときの時間は特に好きですね。イメージが膨らんでワクワクが止まらない。どんなに朝が早くてもまったく苦になりません」

釣りに行くまでの時間がいちばんワクワクする。
準備に要する労力は厭わない

 特に好きな釣りはあるのでしょうか。

 「ヒラメ、ですかね。なぜかヒラメに憧れてました。それがなかなか釣れない。やっと釣れたのは最近のことで、両親と三浦海岸に行ったときのことです。ちなみに母親も釣りがめっちゃ好きなんですよ。その時はキス釣りをしていたんですが、大きすぎず、小さすぎず、ちょうど良いサイズのキスが釣れたので、それを餌にして泳がせ釣りを試しました。そうしたらアタリがあって。ラインを巻いて、魚の姿が見えはじめたら母親が“エイだ!”といってはしゃいでいたんですが、実はそれがヒラメで。やっと釣れました。嬉しかったですね」

2023年の夏。ようやく釣ることのできた初めてのヒラメ

手に入れたSUPで海の上を漕ぎゆく

 取材の日、待ち合わせ場所のヤマハマリーナ浜名湖に、槇さんは背中に大きなバッグを背負って現れました。バッグの中身はインフレータブルのSUP(スタンドアップパドルボード)です。

 「レヴズで同期の伊藤峻祐がSUPを持っていて、誘ってくれたんです。その時、これは釣りにも使えるなと思って、半年ほど前に通販で買いました」

SUPはブルーレヴズのチームメイトに誘われて始めた

 レヴズにももちろんオフはあります。槇さんは今は地元となった浜名湖で、そして実家(神奈川)に帰ったときには三浦海岸で、SUPを漕ぎ、湖や海の上に浮かんで釣りを楽しんでいます。

SUPで水の上に浮かぶひとときはとっておきのリラックスタイム

 「ラグビーのことばかり考えていたら張り詰めちゃうし、リラックスして忘れる時間も大切だと思っています。ボート免許も取ったので、ヤマハのシースタイル(レンタルボートが利用できる会員制のマリンクラブ)にも入会しました。今度、両親を誘って沼津で釣りをしようと思っています。その後は、高校時代の友だちや、大学時代のラグビー部の釣り仲間も誘って、海に出て行きたいですね」

 湖の上を楽しそうに、悠々とSUPを漕ぐ槇さんを見ていると、リラックスする時間も大切という言葉の意味がよくわかる気がします。これからは、グラウンドを駆け抜ける槇さんを見たら、そのエネルギーの源は、海から得たものだと思うことにします。

(題字:槇瑛人)





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