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過保護な「エアフェンダー」 【海の道具】

 ボートに乗り始めて間もないうちは、キャプテンから「フェンダーを仕舞ってくれ」などと言われてきょろきょろしてしまうことがあるかもしれない。多くの人は乗り物なんてクルマぐらいしか馴染みがないから「どこにタイヤがあるんだ? ましてやそれを覆うフェンダーなんてどこにも見当たらないぞ」と戸惑ったりする。よもや空気で膨らませた抱き枕みたいなものがそれだとは思いもよらないかもしれない。小型の防舷材のことだ。

 空気の入ったフェンダーをエアフェンダーという。見たところ、ボヨンとした頼りなげな見た目だが、これがなかなかいい働きをする。

 船と岸壁やポンツーン(浮き桟橋)の間に挟まって、ハルが傷つくのを防いでくれるのだ。丸い厚みが、多少のでこぼこにも対応してくれる。 まん丸な体に一つだけロープを取り付ける部分が付いているものをコニカル、つまり円錐形フェンダーと呼び、上下(左右)にロープが取り付けられるものをツーアイフェンダーと呼んだりしている。
 他には俵型で、真ん中に筒状のロープ通しがあるものもあるし、角を守るためにL字形をしたものもある。また、エアフェンダー以外にも、フェンダーにはウレタンや発泡スチロール、硬質ゴムで成型されたものなども用意されている。

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 ロープで船に吊るしたり固定したりして 使うようになっているのは共通だ。
 空気を入れて使用するタイプのものは、外皮のビニールが結構硬くて厚みがある。フジツボや牡蠣殻などで簡単に割れたりしないようにするためだ。
 さらにナイロンで編んだものをフェンダーに被せる、“フェンダーソックス”なるものが発売されたときには「そりゃあ、あまりにも過保護だろう」と呆れたが、実はそれ、フェンダーに付いた汚れが真っ白なハルを汚さないように被せるのだとか。
 なるほど。そりゃそうだね。

※この記事は過去の「Salty Life」の記事に加筆・修正して掲載しています。


ヤマハボート


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