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ボートフィッシングで出会った一尾の魚が与えてくれた感動【社員紹介-私が海を愛する理由】

 オートバイメーカーとして広く知られる私たちヤマハ発動機は、ボート、水上オートバイ、船外機(ボートの外付けエンジン)といった「海」に関する製品もつくっています。そして、その製品を開発し、製造し、お客様にお届けする社員には、海を愛してやまないメンバーが沢山います。
 「私が海を愛する理由」は、そんな彼らに、海をスキになったきっかけ、海での思い出、おすすめの楽しみ方、こだわりなど、”海への愛”をとことん語ってもらうシリーズです。社員一人ひとりの想いにのせて、みなさんとも海のすばらしさを共有できますように。

 独り暮らしの寮のキッチンで、大きなマダイをさばきました。40センチを超える、惚れ惚れとする見事なマダイです。四分の一は刺身にしました。昆布締めもつくりました。鯛飯を炊き、アラ汁も作りました。切り身の残り四分の一は同じ寮に暮らす後輩にお裾分けしたのですが、それでもこの自然の恵みを4日間にわたって味わい、愉しむことができました。そして、このマダイを釣ったときの思い出 ——アタリがあったときの感触、竿ロッドのしなる感覚、苦労して巻き上げた末に見えてきたピンク色に閃く美しい魚体など—— は、4日間どころか、数年が経った今でも相藤あいとう千恵さんを楽しませ続けてくれています。

特別な一尾の魚のこと

 「釣りはその時が初めてというわけではなくて、学生の頃、海の近くに住む友だちと海釣り公園に行ったり、そこで釣った魚を料理して食べたりして遊んでいました。それでも、その時の、初めてタイラバ(ルアーの一種)で釣ったマダイは特別です」(相藤さん)

 相藤さんが初めてマダイを釣ったのは、寒い、冬の東京湾でのことでした。早朝、会社の先輩が釣り道具やクーラーボックスを積んだクルマで迎えに来てくれました。なんとなくコミックや映画(ドラマ)で見る、あの“釣りバカ日誌”の一コマをイメージしてしまいます。でもその後の展開とスタイルは、“釣りバカ日誌”と少し様相を異にします。

「明け方出航して、ポイントに向かうまでのなんとも言えない時間・空気感も魅力」と語る

 「マリーナに着くと二人の先輩が船長キャプテンとなって2隻のボートに分かれ、それぞれに同僚たちが分乗して釣果を競い合いました」
 ミニフィッシングトーナメントです。同じ職場にフィッシングボートの船長を担うことのできる人材が何人もいて(今では相藤さんもその一人)、休みの日にみんなで海に出て遊ぶ。こうした特異ともいえる環境は、6年ほど前、相藤さんが会社説明会や面接で出会った人たち ——性別にかかわらず、ON/OFFともにバイクや海に接し、楽しんでいる人たち—— から感じていたことでもありました。入社動機の大きな要因でもあったのです。

 「朝は寒かったけれど、晴れていて波もなく穏やかな海でした。釣り始めてから3時間は誰も何にも釣れなかったんですけど、最初に魚がヒットしたのが私だったんです。魚が見えるまではどんな魚がかかっているのかわかりません。でも重たくてリールを巻くのも一苦労でした。先輩船長や同僚たちが“きっとマダイだから。慎重に、頑張って”と励ましてくれて。海面にマダイのきれいな魚体が見え始めたときは本当に嬉しかったです。ついに釣り上げたときは、船長も自分が釣ったとき以上に嬉しそうにしていました。私がマダイと格闘していると無線で聞いて、駆けつけてきてくれたもう一隻のボートのみんなも祝福してくれました。 “いいなあ、俺も魚臭くなりてえなあ”という、もう一方の先輩船長の言葉は今も覚えています。楽しかったですね」

仲間が注目、応援する中ではじめて釣り上げた感動のマダイ

 このマダイ体験の翌日に、相藤さんは、今でも彼女が“釣りの師匠”と呼ぶ、先輩船長とともに釣具店に行き、タイラバ専用のロッドとリールを選んでもらって購入しました。

尽きない海と海辺の思い出

 もちろん相藤さんの海での楽しい思い出はこの釣りだけではありません。
 「なにしろ母が大の海好きで、目の前に海があると、海に入らないと気が済まないような人。とにかく海に触れる。真冬でも海辺に行くと足だけでも海に浸かっている。一緒にドバイ行ったことがあるんですが、真夏で、しかも気温が40度以上もあって誰も外に出ていないのに、母は無人のビーチに行って海に浸かっているんです。あきれちゃいます。自分が海になっちゃいたいタイプの人ですね」

母親とのドバイ旅行。灼熱の摂氏40度超えのビーチにもかかわらず母は海へ向かう

  「幼かった頃、家族で毎年のように出かけていた九十九里(千葉県)の海も思い出です。まるで“仕事が命”みたいに忙しくしていて単身赴任が続いた父もその時は一緒でした。海辺の小屋のようなところでハマグリを焼いて。汁をこぼさずに母が上手に焼いて食べているのを感心して見ていました。食べたものはなぜかハマグリしか覚えていません。それと汚い小屋に、薄汚れた畳と」

 「学生時代、カリフォルニアに留学していたんですけど、学校が早く終わると、ルームメイトたちと一緒にラグナビーチに行ってました。海辺のカフェでおしゃべりしたり、かわいい雑貨屋さんをのぞいたりして過ごしていました。海辺のコートでバスケットボールをしていたり、老夫婦が歩いていたり、そんなシーンを眺めるのも好きでした」

カリフォルニアに留学中、ラグナビーチに通った。海をますます好きになる時間だった

 相藤さんがヤマハ発動機に入社した6年前、最初に配属されたのが横浜で、シースタイル(レンタルボートクラブ)の業務を担当しました。
 「海の楽しさを提供する仕事だったので、私自身もウェイクボードやウェーブランナー(水上オートバイ)など、いろいろなアクテビティを経験しました。仕事とは関係ないけどサーフィンにもチャレンジしました。どれも楽しく、大好きです」

 いろいろな海の思い出、体験があるなかで、最も好きな海での遊びに釣りを上げてくれたのも、実は少し迷ってからのことなのでした。

なんともいえない “やったぜ!!!” という感覚

 いま、本社(静岡県磐田市)勤務ですが、浜名湖でシーバス(スズキ)フィッシングを楽しむためのタックルをそろえました。サーフフィッシング(砂浜での釣り)用のタックルも。それとアオリイカも好きなターゲットです。

「釣り全般にいえることですが、“やったぜ!!!”という、あの感覚が味わえるところがなんともいえないんです。実は最近ポケモンゲームにはまっていますが、ゲットだぜ!みたいな。少し似ているかも。日常で味わうことの出来ない感覚にはまってしまいました。特にボートフィッシングだと、狙える魚も広がるので好きですし、明け方出航して、ポイントに向かうまでのなんとも言えない時間・空気感も魅力なんだと思います」

 相藤さんの海への思い、釣りへの興味は尽きることなく、話が途絶えることもありません。何しろ、“自分が海になっちゃいたい人”の娘なのですから。

(題字:相藤千恵)

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