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邪道、邪道と言わないで!カジキ釣りにだって使える「電動リール」 【海の道具】

 「そいつは邪道だぜ」と、世の中の“ヘミングウェイ”氏(※)から批判を受けそうですが、今回は電動リールを使ったカジキ釣りのご提案です。
 もともと電動リールは、中深層の魚を狙うボトムフィッシング向けに用意されたフィッシングギアです。長いラインを巻き上げる手間と時間を機械に任せることで、釣果アップを期待するアイテムと言えます。もちろんボトムフィッシングファンの中にも、IGFA(※)のルールに則って釣りを楽しむ方はいて、手動リールしか使わないという硬派も少なくありません。

※IGFA(国際ゲームフィッシュ協会)は、1939年にアメリカで設立されたアマチュアの釣りの普及・振興、釣魚の記録保全を活動内容とする団体。「老人と海」で知られる作家のアーネスト・ヘミングウェイは初代の副会長。日本の組織としてJGFA(ジャパンゲームフィッシュ協会)が活動している。ヤマハ発動機はJGFAの賛助会員。

 では、カジキをはじめとする巨大魚釣りの世界ではどうかというと、プロ、すなわち漁師の世界では、タイコ型ドラムを巨大な電動リールと考えれば、延縄漁の例を挙げるまでもなく、ずっと昔から使われていたといえます。いやいや、もちろんこじつけだけれども。

 一般的にカジキ釣りと言えば、あくまでも魚と人間が、その力をもって対峙するスポーツと捉えられています。IGFAのルールでは、他のクルーはファイト中のアングラーの体に触れることもできません。第三者が竿に触れるのもルール違反。たったひとりでポンピングを繰り返しながらじわじわとリールを巻き上げ、悪戦苦闘の末にカジキを船に寄せ切ったときの達成感こそ醍醐味であることに異論はありません。
 さらに電動リール禁止の対象はカジキだけでなく、すべての釣りにおいて御法度であり、どんな大物を釣り上げたところで、IGFAにおいては、そもそも「釣り」として認められていないのです。

 それでも、スタッフを集めるのも困難、大物が掛かった時に体力的に自信がない(大物を掛ける自信はある!)といった方には、巨大魚を比較的ラクに寄せきることのできる電動リールは頼もしい相棒に思えることでしょう。

 様々な見解がありますが、「スポーツフィッシング」とは「コマーシャルフィッシング」の対義語であり、つまり「遊び」であること。日本ではしばしば誤解されてきましたが、釣法やスタイルを指す言葉ではなく、目的を指す言葉なのです。電動リールで「楽しむ」のももちろんスポーツフィッシングです。
 そもそも人間がエンジン付きのボートで釣りをすること自体、魚にとっては「ずる」ですしね。
 なお、IGFAでは、2021年2月の規則改正において、「餌やルアーの回収においてのみ」という条件付きで電動リール(パワーアシスト)の使用を認めています。

※この記事は過去の「Salty Life」の記事に加筆・修正して掲載しています。

ヤマハボート


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