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対象魚やスタイルによって釣り道具も進歩、細分化 【海の博物誌】
釣り竿という言葉をなかなか耳にしなくなってしまいました。多くの人は釣り竿のことをロッドと呼んでいるようです。釣り竿の素材として主流であったグラスファイバーは、終戦後になって登場。釣りの大衆化、人口の増加に伴って大量生産の時代に突入し、今では釣り竿といえばカーボンファイバーが主流となっています。
また対象魚や釣り方によっても釣竿はその長さ、調子、弾力、さらに機構等によって細分化され、ボートフィッシング用の釣竿を見てもその種類は様々です。また、こうした事情は釣竿に限らず、針や釣り糸、リールなど、その性能の進歩はもちろん、やはり細分化が進んでいるのです。
西洋では昔、材木で作った長くて太い釣竿が使われていましたが、これが格段の進歩を遂げたのは18世紀、熱帯アメリカ産の弾力のある木を張り合わせたものや竹製のものが現われだした頃からのようです。
日本では竹製のものが古くから使われてきました。
釣り人気が隆盛を極めた文化文政から天保の時代にかけて(19世紀前半)は、茶道や華道と同様、釣り道具にも名譜や流派が生まれています。
いわゆる竿師と呼ばれる職人は、この時代に生まれ、竹製の継ぎ竿もこの頃に登場しています。こうした手作りの釣竿は“知る人ぞ知る”世界では、今も名品として人気があり、また自作する愛好家もいます。
ロッドもいいですが、釣り竿もいいですね。
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