なぜかたくさん釣れる高級魚。 【レシピ- 船厨】
3月のある日、相模湾でマダイを狙っていたら、ホウボウばかりが釣れました。相模湾の海底はホウボウで埋め尽くされているのではないかと思うほど、釣れました。
マダイを釣ろうとしているのに、マダイは釣れずにホウボウばかりが釣れる。タイラバと呼ばれるルアーで釣ろうとしていると、よくあるのです。そんなとき、周囲の仲間はたいてい「ホウボウは高級魚だから」と慰めてくれます。でもこのときは、一人きりで沖に出ていたので、そんな慰めも聞こえてくることなく、「いえい!またまた高級魚さんのお出ましですね」などと自嘲気味に言い聞かせながら、イケスにホウボウをため込んでいったのでした。
釣魚に対して、何を持って高級魚というのか、諸説がありましょう。銚子沖の底曳き網漁で獲れるホウボウのように、ブランド化しているところもありますが、ホウボウを専門に獲っている漁師さんは、実際のところ、そんなにいないような気がしています。つまるところ、希少価値としての魅力がある魚なのかもしれません。そういえば、スーパーマーケットの魚売り場ではあまり見かけません。
で、実際のところ、ホウボウはかなり美味なのです。舌の肥えている方はそんなことはないのかもしれませんが、同じようによく釣れる割に“超高級魚”といわれるアマダイも釣れたので、両方とも刺身にしたところ、まず並べた時点で区別が付かなくなり、口に入れてみたところ、これもまた区別が付きませんでした。もちろんホウボウは焼いても美味いし、煮付けにしても美味い。
何より見た目も変わっているので、料理にイベント感が漂います。刺身の翌日は、ブイヤベース、というより自己流のトマト煮にしてみました。パンと一緒に食べた後、残り汁にご飯を入れ、皿に盛ってからパルメザンチーズを振りかけて食す。流れがもうめちゃくちゃですが、これもまた最高。結局は「鍋」なんですな。楽しく味わえます。