使いどきが難しいんです。現代の狼煙 「信号紅炎」 【海の道具】
ボートの購入時や、船舶検査の時期になると耳にする用品のひとつに「信号紅炎」があります。
危険が生じたとき、他の船舶に知らせるために、着火すると赤く眩しい炎と煙が立ち昇るという、読んで字のごとくの機能を発揮します。そうそう、車にも発炎筒を積んでると思いますが、アレのマリン版。
明るさは400カンデラ(光度)以上で燃焼時間は1分以上。炎の色は赤色と決まっています。小型船舶用のものは2個が1セットになっていて、水や湿気が入りにくい半透明のケースに入っています。さらに発火部分には蓋がついていて、水気を遮断する仕組みになっています。なにせ発火しなければ何の役にも立たないので、そこは厳重にカバーされているというわけです。
発火装置の下の半筒状部分はもちろん手で持つためにあるのですが、実はもうひとつ役割があります。あえて筒状になっているのは、使用するとき、少しでも高い位置に信号紅炎をかざすために、ボートフックなど、長い棒状の物を差し込めるようになっているのです。
船が航行不能になるときというのは、概して荒天時が多いもの。波間に揺れる船にとっては、少しでも目立つように、高く掲げたいものです。
信号紅炎には使用期限があって、船舶検査と同じ3年に加え、予備時間半年、つまり3年6ヶ月となっています。期限が切れたものを処分するには、購入した販売店経由でメーカーに返送して処分することになります。そこいらで点火したり、可燃ごみとして捨てるなどはもってのほかです。
ではどうするか。邪魔でなければ、そのまま積んでおけばいいんです。確かに検査には通りませんが、万が一の場合、予備として使用することはできます。
幸いにも信号紅炎のお世話になった経験はありませんが、非常時に2本しかないとなると、使い時を迷ってしまいそうな気がしませんか? 誰も見ていないところで点火しても無意味だし、つけ惜しみをして、チャンスを逃しては元も子もありません。
殺し文句と信号紅炎は、実に使い時が難しいんですよね。