初めてバイクでRevした話【#エンジンがかかった瞬間 - Vol.1】
ヤマハ発動機社員による「#エンジンがかかった瞬間」投稿企画。
noteコンテスト企画のテーマに合わせて、ヤマハ発動機社員がそれぞれの心のエンジンについて綴ります。
第1回目は、ブランドマーケティングに携わる女性社員NNさんです。
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ヤマハ発動機に入社して7年になる。
入社前、就職活動中の私は無知もいいところだった。
「ヤマハって、あの、楽器のヤマハ?バイクもあったっけ…」
これを読んでいる多くの皆さんは、当時の私と同じようなことを思っているかもしれない。
実は、楽器などを作っているヤマハ株式会社と、ヤマハ発動機は全然違う。
ヤマハ株式会社は、多くの皆さんが知っているピアノや楽器をメインに製造している会社。一方、ヤマハ発動機は、バイクやボートなど、動くモノを作っている。
「動かないモノより動くモノの方が面白いじゃん。」
正直に言うと、本当に直感だった。しかもヤマハ発動機のブランドスローガンは、『Revs your Heart』。『Rev』はエンジンの回転を上げるという意味らしい。私は、このスローガンに惹かれ、ヤマハ発動機に入社することにした。
ヤマハ発動機に入社したからには、やっぱりバイクに乗ってみたかった。
しかも、同期の社員はバイク乗りばかり。新入社員になったばかりの私は、なけなしのお金を握りしめ、思い切って中型バイクの免許を取得することにした。
バイクの教習は楽しかった。全く知らなかったバイク用語を学ぶのも、バイクをちゃんと触るのも、全部初めての経験。毎回の教習が新鮮だった。倒れている重たいバイクを起こすという作業は、女性にとっては一番の難関で一苦労だったけど、何とか引き起こすことが出来てホッとした。
そして、ついに心待ちにしていた乗車の教習が始まった。やっとバイクに乗れる!と、意気揚々と乗車教習に臨んだ私。重たい車体をぎこちなく動かして運び、エンジンをかけるところまでは良かった。有難いことに、車と同様に、簡単にエンジンはかかってくれる。
でもそこからが難しかった。
エンジンかけて半クラッチしてアクセル回して少し加速したらギアチェンジして止まったらギアを戻してまた半クラッチしてアクセル回して…。
なんだこれは…手は痛いし怖いし疲れるし…。
ありえないところが筋肉痛になった。
マニュアル操作のバイクであれば、右手でアクセルと前輪ブレーキレバー、左手でクラッチレバーを操作し、右足で後輪ブレーキ、左足でギアチェンジをする。しかもそんな操作をしながら、乗車中は膝でバイクの車体をしっかりはさんで、重たい車体のバランスを取らなくてはならない。
不器用なこともあって、最初はバイクに乗りながらもわけが分からなかった。私の足りない頭で考えながら操作していたら全然容量が足りない。教習中は、何度もエンストして、転びそうになった。
※エンストになるとエンジンが止まってしまいます。
楽しみだったからこそ、エンストした日はちょっとだけ落ち込んだ。どうしたらもっとうまく乗りこなせるんだろうか…。同期の子たちが、涼しい顔してバイクに乗っているのが、不思議でたまらなく、なんだか尊敬の念まで湧いてきた。
ただ、ふと考えるとバイクに乗っている同期の子たちは、そんなに考えて操作している様子はない。身体の一部のようにバイクを操作して乗っている印象がある。まさに人馬一体とはこのことだろうか…。
※写真はイメージです。
(後で知ったけど、ヤマハ発動機には人馬(人機)一体を超えた人機官能という開発思想があるらしい。当時の私の理想の遥か先を、ヤマハ発動機はとっくに目指していたんだな…。)
私は、自宅でイメージトレーニングをしてみることにした。部屋を移動するときには、エンジンをかけてから始動、加速し停止、再スタートをする一連の操作を、手足を動かしながら再現。両手を前に出し、エアバイクのアクセルをふかしている私は真剣だった。でも家族から見れば、5歳児が空想のバイクに乗って遊んでいるかのように見えていたに違いない。
そんなイメトレの効果もあってか、通っていくうちに、ギアチェンジがスムーズにできるようになってきた。エンストもゼロ。一本橋も得意になった。
さらに余裕が出てくると、風を感じて気持ちいい~!と心の中で鼻歌を歌うまでになった。教習中で全くスピードも出ていないノロノロ運転なのに。(笑)
教習所と違いすぎてもはや妄想レベルだけど、脳内イメージはこんな感じ。
バイクにまたがってエンジンをかけると、バイクの中から心臓の音が聞こえ始める。余裕が出てきたからこそ、しっかりとエンジンの鼓動を聞くことができた。いいタイミングでギアチェンジをしてアクセルを回すと、エンジンが喜んでくれているようだった。
「エンジンが私に呼応してくれる」
それだけでなんだか心が躍動した。
これがRevs your Heartか。心がRevしているのを全身で感じることができた。
ほんの短期間の教習所での出来事だったけど、これが私の『Revs your Heart』の原体験だ。
今でも初めてバイクの鼓動を感じた感動は忘れられない。
あの感動をまた味わうために、私は今日もバイクのエンジンを始動する。
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ヤマハ発動機では、note社とコラボして、#エンジンがかかった瞬間 の投稿コンテストを実施中です。ぜひ、あなたの「心のエンジン」を教えてください。
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詳しいバイクの操作方法が気になった方は、下記記事をご覧ください。