秋刀魚は「無造作」に料理するのが美味いんです 【船厨- レシピ】
秋になって秋刀魚=サンマが店頭に並びだしました。ところが、例年のように氷水を張ったトレイにバサッと並んでいません。一尾ずつパックに入っています。価格は300〜400円台。控えめに書きましたが、今回の「秋刀魚ご飯」に使用したサンマは消費税込みで500円を超えていました。
「今年のサンマはいったいどうなってるんだ?」
気になります。
まもなく10月を迎えようというときに、ニュースサイトで「サンマ」と検索したら、宮城県の女川に今年初めてのサンマが水揚げされたというニュースを目にしました。例年に比べて一ヶ月遅れ。漁は8月に始まり、魚体が小さく苦戦続きだったものの、群れが沿岸に近づいてきて脂ものりだした」というサンマ漁船の漁労長のコメントがありました。嬉しいニュースです。
と、このように、秋になると、特に青魚嫌いでも無い限り、我々はサンマの水揚げや価格のことが気になり、必ずといっていいほど、家庭や仲間内での団らんネタにするものです。
「秋刀魚の漁獲量が気になる候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」なあんて、時候の挨拶に使ってもいいぐらいです。それほどサンマは日本人の心の奥にまで浸透した、かつ重要な秋の味覚なのです。そして、それは今に始まったことではありません。
落語に「目黒の秋刀魚」という小咄があります。
ご存じない方もいるかもしれないのでご説明すると、殿様は知ったかぶりましたけど、目黒というのは山の手にあって、海のないところです。サンマの産地ではありません。目黒のサンマが美味かったのは、無造作に炭火で焼いたものだからなんです。それこそ最高のサンマなのですね。
ということで、「秋刀魚ご飯」を作りました。フランス製のホーロー加工鍋を使ってオシャレに見せかけていますが、基本的に、その作り方は無造作です。土鍋はもちろん、ダッチオーブンでもほぼ同じ炊き方で、できあがります。“お焦げ”が好きなので、それらの調理器具は、どれもご飯モノにうってつけです。もちろん、ごく普通の炊飯器でも美味しく作ることができます。
秋の恵みをもたらす海に感謝しつつ、秋の味覚を堪能しましょう。