世界的名著を生んだ作家は海辺を放浪。 【海の博物誌】
海洋文学というと必ずといっていいほどあげられるのが『ロビンソン・クルーソー』と『白鯨』、それに『老人と海』。いずれも海に関する描写が素晴らしく、読む人の多くを海好きにしてしまいます。というのも、海洋文学を書いた作家には実際に海の生活を経験した人が多いからかもしれません。
たとえば『白鯨』のハーマン・メルヴィル。彼は早くも11歳にして貨物船の水夫になり、25歳になるまでの14年間を海で過ごしています。
1819年、ニューヨークで生まれたメルヴィルは、11歳でリバプール行きの貨物船に乗り、次いで捕鯨船に乗り込みます。ところが途中で下船して南洋の島で気ままな暮らしを始めるのです。やがてオーストラリアの捕鯨船に拾われた格好で乗り込むのですが、今度は反乱を起こして、タヒチ島で捕われの身になってしまいます。
釈放後はハワイや南米の海岸を放浪し、アメリカの軍艦に収容されてボストンに帰ったそうです。
その後、25歳で作家生活に入り、次々に海洋小説を発表しましたが、有名になったのは死後30年以上たってからのことでした。