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浮くのは楽でも、固定するのに難儀します。 【海の道具】

 今回はブイのお話です。ブイとは海面に浮かべて、目印に使う浮器です。よく見かけるのは、海水浴場で、遊泳区域を示すために、ロープに点々と結び付けて浮いているオレンジ色の玉。形状はやはり球体が多いのですが、俵型や三角錐をしたものなどもあります。
 ほとんどの素材はプラスチックなどの化学素材なのですが、昔は空気を密封したガラス玉に縄で編んだもので覆ってブイにしたりしていました。梵天ぼんてんともいいますね。
 定置網や延縄はえなわなどを仕掛けてある場所には必ずブイが浮かんでいるので、航行する際は、近づかないようにするとともに、そのブイのロープがどこに続いているかをチェックするのも忘れてはいけません。

 では、プレジャーボートでブイは使わないかというと、そんなことはありません。アンカー(錨)を降ろす時、途中にブイをつけておくと、アンカーに対してボートがどちらに流れているかが分かるので、アンカーの回収時に便利です。
 それとマリンジェットなどでは、ブイを設置して周回コースを作ったり、ヨットレースのコースにもブイは必須アイテムです。

 ブイ自体はただ海に投げ入れれば浮くのですが、固定させるのが難しい。ブイにロープを結び、一方をアンカーやどこかに固縛するだけなのですが、その長さが肝。長すぎると位置の範囲が広くなって、目印の意味をなさなくなるし、かといって、短いと、こんどは海面に沈んでしまったり、アンカーを浮き上がらせてしまって位置がずれてしまうこともあるのです。

 そうそう、ヨットレースのマーク用として、GPS機能によって位置を正確に設置できるアンカー不要のブイが実用化されているようです。水深のある場所でも手軽にブイを設置・移動できる点は大きな利点です。確かに相模湾や駿河湾のように沿岸からすぐに数百メートルもの水深になるような場所では、ブイを打つにもそれだけ長いロープが必要になってしまい、設置にも回収にも手間がかかるのは想像に難くないところです。

 ハイテクな現代でありながら、ボートにしろブイにしろ、海面で位置を固定するというのはけっこう厄介なのです。


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