真っ赤な夕陽が似合う、美しくも恐ろしげなカクテル 「ブラディ・メアリー」 【船厨】
朱色の美しいこのカクテル「ブラディ・メアリー」の名は、16世紀にイギリスの女王として君臨したメアリー1世の名に由来します。彼女は自分とは信仰が異なる300名にも及ぶプロテスタントのキリスト教徒を処刑してしまいました。そこでついた異名が「血まみれのメアリー」。
鮮やかな夕焼け。情熱的な赤。そんな聞こえのいい言葉を並べても、その名はやはり恐ろしげです。それでも、健康飲料の代名詞のような“トマトジュース”を使うカクテルということもあって、二日酔い後の迎え酒として用いる人がいます。
実は文豪・ヘミングウェイもその一人で、彼はウォッカにトマトジュース、ウスターソースや塩に胡椒、ほかにも香辛料を加えて愛飲していたのですが、こともあろうに、自身の未成年の息子に酒を勧めた翌朝に、迎え酒として「ブラディ・メアリー」も勧めていたそうです。
とんでもない男ですね(大好きですが)。さらにいえば「迎え酒」そのものも迷信で、効いたような気がするのは、再び酔って、神経が麻痺するだけのことです。でも、それもつい最近になって明らかになったことで、それまでは科学的にも迎え酒の効果は信じられてきたそうです。
トマトジュースを使ったカクテルは、この「ブラディ・メアリー」のほか、ビールを使った「レッド・アイ」、ジンを使った「ブラディ・サム」などが代表的です。
いずれも海辺で美しく染まる秋の夕焼けを眺めながら飲むのにおすすめです。口当たりが良く、特にトマトジュース好きにはたまらないのです。でも、ついつい飲み過ぎてしまうことも確か。迎え酒どころか、またまた二日酔いになってしまいそうです。とにかく、スマートに飲みたいですね。
言うまでも無く、お酒は成人になってから。そして操船中の飲酒は厳禁です。アルコールが苦手な方や船上で飲むには、ウォッカ抜き、スパイスやウスターソースで調味したノンアル・ブラディ・メアリーもおすすめです。
※この記事は過去の「Salty Life」の記事に加筆・修正して掲載しています。