カタクチイワシに感謝しつつ「オイルフォンデュ バーニャカウダ風」 【船厨-レシピ】
この「船厨」のコーナーは、決してプロが作った料理が紹介されているわけでもなく、むしろ、不器用なスタッフが台所を散らかしながら一生懸命つくった料理をご紹介していくのが趣旨であります。とうわけで、見た目があまり芳しくないことも多々ありますが、お許しください。で、今回は「バーニャカウダ」。
といっても、野蛮なスタッフがこんな洒落た料理を当たり前のように知っていたわけはなく、つい最近、あるレストランに招かれて、たまたま出会った料理です。なかなか美味しかったので、後日、その料理のことを調べ、見よう見まねでつくってみました。適当な器が見当たらなかったので、小ぶりのダッチオーブンを使ったら、ますます野蛮な雰囲気になってしまいました。
ちなみにこれはいわゆるフォンデュに似ていますが、イタリア料理なのだそうです。
アンチョビ、ニンニク、オリーブ・オイルを使ったソースを温めつつ、野菜や魚介など好きな食材を浸しながらハフハフしながらいただきます。ネーミングから来るイメージとは裏腹に、まことに簡単なのでぜひ試してみてほしいです。
このソースの主役「アンチョビ」とは、元はカタクチイワシの仲間の総称ですが、日本ではこれを塩漬けにして発酵させた食材を指すことがほとんどです。ピザ、スパゲティをはじめとするパスタにはもちろん、アクアパッツァの隠し味に使ったりします。この食材を使えば、たいていの料理に地中海を連想させる見事な風味が付きます。
弱肉強食の海の世界では、どちらかというと弱い魚です。魚にも鳥にも人にも狙われて、上から下から、横から全方位から攻撃されます。さらにボートアングラーにとっては、ビッグゲーム(大魚のこと)を釣る上で、格好の水先案内となってくれます。
感謝の念とともに、なんとけなげな魚なのだろうと、愛おしさすら募ります。感謝。
※この記事は「Salty Life」103号の記事に加筆、修正して掲載しています。