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ヨット 〈ノーサイド〉 の船上ランチ 「カマンベールとハムのバケットサンド」 【レシピ-船厨】

 コンビニエンス・ストア(コンビニ)の登場は、船上におけるボーターやセーラーの食事を劇的に変えてくれました。多くの人はマリーナに行く前に必ずといっていいほど立ち寄っています。バラエティに富んだ品揃えのおにぎりやサンドウィッチ、そしてお弁当。それらがなかなか美味い。
 釣り船に乗るときなど、釣り以外のことに時間をかけるのがもったいなくなるものですが、そんなときにも“コンビニおにぎり”はかなり重宝します。しかも24時間営業ときては、早朝に出港することの多い人にとって、コンビニは無くてはならない存在といえます。

 ただ、コンビニの便利さとありがたさを感じつつも、たまには、手作りのランチもいいなあ、と思うのです。

 敬愛するセーラーがいました。その方はアメリカ製の24フィートの、チーク材をふんだんに使った、味のあるセールボート(ヨット)を持っていました。ラグビーも好きだったその方は、そのヨットに〈ノーサイド〉と名付け、とても大切に乗っていました。
 その方が放つ“潮気”は多くの人が認めるところで、たとえば、ヨットに乗るときは、乗り込む直前に桟橋でデッキシューズに履き替える、そうしたさりげない美学を備えていて、その一挙手一投足がとてもかっこ良かったのです。

 憧れていたその方のヨットに何度か招かれたことがあるのですが、初めてご一緒させていただいたときに、洋上で振る舞ってくれた食事のことをよく覚えています。

 東京湾はとても気持ちのいい風が吹いていました。ひと通りセーリングを楽しんでいると、その方が「そろそろおなか空いたよな。何か食べようか」というと、舵柄ティラーを私に渡し、キャビンへと入っていきました。そして数分のうちにバケットにハムとチーズを挟んだサンドウィッチをこさえあげ、ゲストたちに振る舞ったのです。

 実際にとても美味いサンドウィッチだったのですが、その味よりも、ヨットのオーナーが、自らキャビンに入っていき、さっとオシャレなサンドウィッチをつくって出してくる、その所作が大いに感動させました。もちろん、そのときに拙子が持参したコンビニおにぎりは、バッグのなかでなりを潜めたままで、帰宅後の夕食になりました。

 旅はもちろん、クルージングの醍醐味、ハイライトはなんといっても「食事」であると信じてきたのに、いつの間にか、その主役がコンビニおにぎりになっていた事実に、その出来事を通して少しばかり反省した次第です。それ以降、海に出るとき、その数回に一度は、こうしたバケットサンドをデッキでつくったり、季節の食材を使ったお弁当を船に持ち込むようになりました。

 それだけで、「海の時間」がますます楽しいものになること請け合いです。

「カマンベールとハムのバケットサンド」

■材料
パン(バケット、パリジャンなど)、ロースハム、カマンベールチーズ、黒胡椒

■作り方
1)ナイフでパンに切れ目を入れ、ロースハム、カマンベールチーズを挟む。
2)ハムとカマンベールに黒胡椒を振りかける。好みによってベビーリーフなどで彩りを。

※今回はロースハムの代わりにアイスバインを使用。これも美味!
※パルミジャーノ・レッジャーノと生ハムのバケットサンドもオススメ。パンにオリーブオイルを軽く塗って。


ヤマハボート


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