船のロープの王様は「麻」から「化繊」へ。 【海の博物誌】
天然素材は肌触りがよく、独特の光沢や風合いをもっているため、衣料の素材としての評価は一般的に化学繊維よりも高いものです。ヨットやボートで使われるロープにも天然繊維のものと化学繊維のものがあり、長い間、同じように評価されてきました。
昔からロープの王様といわれているのは、マニラ麻で作られたもの。柔らかくて軽く、水に浮かびやすいので係留策や曳航策に使われます。ところが、実のところ、マニラ麻は水に弱く、濡れると縮んで堅くなってしまうのが欠点です。また、濡れたままにしておくと腐ってしまうのです。
化繊のロープはその欠点を見事にカバーし、強く、見た目もきれい。欠点は熱や摩擦に弱いこと、子縄に弾力がないので型くずれしやすいことなどでしたが、こちらの方は天然繊維と違ってどんどん新しい素材が開発されていきます。
上質なマニラ麻が手に入りにくくなったこともあって、今ではその王座は化繊ロープに取って代わられています。