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目立たない小さな働き者 「ベンチレーター」 【海の道具】

 ベンチレーターは通気のための装置、というか、機構の総称で、部屋の換気などに使います。
 一般的には、ブラインド状になった板が取り付けられていて、雨は入りにくいけれど外気が取り込めるようになっています。
 ブラインドと同様、可動式のものもあって、天候によって板を開閉し、雨風をシャットアウトしたり、空気をたくさん取り込めるようにすることもできます。また、ソーラーシステムを組み込んだハイテク製品では、電動ファンによって強制的に空気を循環させることのできるものもあります。
 夏場の蒸し暑い船内では、ことのほかこのベンチレーターが効果を発揮します。

 大型クルーザーは別として、小型のボートにはエアコンがついていない場合が多いんです。
 天気もよく、波も静かなら、デッキなどオープンエアな場所に座って、風に髪をなびかせられれば爽快です。ところが、小雨や波飛沫が強くなれば、どうしたって狭い船内に逃げ込むしかない。断熱材を使っていない船室内は、湿気と共に蒸し風呂状態になることもあります。

 そんな時に外の風を船内に取り込んでくれるベンチレーターは扇風機にも匹敵する頼もしい装備となります。ただし気をつけなければならないのは、取り込み口をどちらに向けるか、です。進行方向に向ければ風はいっぱい入ってきますが、その分、水も入ります。逆向きにすると、外と中の温度差からくる対流程度にしか空気は流れません。
 そこで登場するのが水だけを排除するアタッチメント。簡単に言うと、船内側の取り込み口に衝立を立てて、水気だけをふるい落としてホースで外に出してしまいます。単純なようでいて、これはなかなかのスグレモノ。

 ベンチレーターは人の居住区だけではなく、エンジンルームやトイレ、デッキサイド等、いたる所に取り付けられています。浸水対策が必須のボートだけに意外な気もします。でも、大きな風の取り込み口が着けられないからこそ、あちこちにつける必要があるのです。

 今度ボートに乗ったら是非チェックしてみてください。この小さな働き者たちを。 

※この記事は過去の「Salty Life」の記事に加筆・修正して掲載しています。


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