心も体も温まる、はまぐりのスープ 【船厨- レシピ】
「はまぐりのスープ? これってクラムチャウダーじゃないの」という方がほとんどだと思いますが、その通りです。あえて「スープ」としてみました。
アメリカの絵本作家、ロバート・マックロスキーの「One Morning in Maine」という、とんでもなく素晴らしい絵本があります。日本では「海べのあさ」として出版(福音館書店)されている絵本です。その「海べのあさ」(1978年初版)では、原作にある「clam chowder」が「はまぐりのスープ」と訳されているのです。
当時、クラムチャウダーという料理が広まっていなかったのか、それともあえて「はまぐりのスープ」と訳したのか、訳者の石井桃子さんにお尋ねする術はもうありませんが、クラムチャウダーがどういう料理かはもちろん調べたはずで、それでも「はまぐりのスープ」と日本語にした訳者の感性が、やさしくて素敵です。
クラムチャウダーは、東海岸・ニューイングランド地方が発祥の地。物語の舞台となっているメイン州もニューイングランドです。ハマグリやアサリなどの二枚貝を使ったチャウダーで、この地方では家庭料理の定番となっています。
「海べのあさ」では、お父さん(作家自身だといわれています)が、愛娘のサリーとチャウダーを作るためのハマグリを掘るシーンが出てきます。チャウダーは家族の絆を強める料理なのだなあなんて感じます。
そしてこの「クラムチャウダー=はまぐりのスープ」はお父さんがサリーと出かけている間にお母さんが作ってくれているようです。50年近く前に書かれた絵本です。名作「大草原の家」でもお父さんは料理をしません。その辺りはどうかお気になさらず。つくるのは誰だっていいんです。お父さんとお母さんで一緒に、子どもに手伝ってもらってもいいですね。
さて、養殖ハマグリが籠売りされていたので手に入れました。春になったら久しぶりに潮干狩りにでも行くか、なんて思いつつ、楽しくつくりました。すでに心はあたたかです。