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格安フェリー旅行で手に入れた300円の「幸福の木」【海での時間 - vol.2】

「#海での時間」のコンテスト開催にあたって、

ヤマハ発動機社員も、みなさんと海での時間を分かち合いたい!

ということで、「ヤマハ発動機社員がつづる#海での時間」と題し、社員のリレー投稿を実施しています。

第2回は、ブランドコンテンツ関連に携わるベテラン女性社員、WHさんです。

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「海での時間」をテーマに何か書かなければならなくなりました。

さぁ困った。何を書こう?

私が働いているヤマハ発動機の社員の中には、海に対しての思いがとてもアツい人たちがいます。それは、我が社がプレジャーボートや、ボートにつける船外機といったマリン製品を扱っている関係で、元々海好きの人や、仕事を通じて海好きになった人たちが多いという事情があります。世間では少数派のボート免許保持者も、社内では全く珍しくありません。

一方、私は・・・というと・・・

マリン製品を扱う部門への所属経験、ゼロ

ボート運転経験、ゼロ。

海沿いに住んだ経験、ゼロ。

つまり、海に対しての、あふれんばかりのアツい思いは、ほぼ皆無。今までの海エピソードを思い出してみても、きわめて一般的、というか平凡なものばかり。

幼い頃の潮干狩りの思い出にしようか、いやいや、従姉妹たちと遊んだ浜名湖をテーマにしようか。そもそも、浜名湖は海に含んでもいいのかな・・・自宅でテーマを考えていた時、顔をあげると・・・ふと目にとまったのは、我が家の居間の片隅に飾られている小さな「幸福の木」。

そうだ、平凡かもしれないけど、このエピソードを書いてみよう。

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私がこの「幸福の木」を買ったのは、私が大学2年の夏でした。

当時の私は、大学でスペイン語を専攻、スペインに行くことを夢見ていました。とはいえ、私の親は娘のスペイン旅行代金を払ってくれるほど甘くはなく、旅行費用は自分で貯めるしかありませんでした。

そんな私にとって、夏休みはアルバイトに費やす時間が確保でき、より多くのお金を稼ぐ絶好の機会でした。

大学1年の夏休み、いくつものアルバイトを掛け持ちし、働きまくりました。

大学2年の夏休みも一生懸命アルバイトをする予定で、割のいいバイトはないかな、と、大学の学生協の掲示板をチェックしていました。すると、アルバイト募集の掲示の横に貼られている1枚の広告が私の目に留まりました。

“奄美大島、フェリー往復 3泊4日の旅 たったの29,800円” 

ベストシーズンの8月に行けるのに、3泊4日、食事込みで29,800円、なんという魅力的な金額!!

キラキラの女子大生、アルバイトばかりじゃなく、夏の思い出の1つくらい作るべきだよね~、と、横で同じ広告を見ていた友人(女子)と盛り上がり、私たち2人は速攻で旅行の申し込みをしました。

実は、この破格値の裏には・・・・

- 往復フェリー2等船室

- フェリー片道20時間

- 3泊内訳:ホテル2泊、フェリー1泊

という旅行の設定がありました。しかし、その時の友人と私は、広告に書かれていた諸条件について深く考える事はありませんでした。

旅行当日。乗船手続きを終えた私たち。2等船室ってどんな部屋なんだろうねぇ、と友人と2人、船内に入ってみると・・・、

こ、これが2等船室!?部屋じゃなくて、ただの大広間じゃん!隣の人との区切りは無いの!?

衝撃を受けている友人と私に対し、いかにもフェリーでの旅に慣れている風のグループやサークル仲間風の人たちは、さっさと自分達のエリアを確保。

いかん、いかん、私たちも確保しなくちゃ!

慌てて自分達のエリアを確保したものの・・・、その後、2等船室で過ごす20時間のなんと居心地の悪い事・・・多勢に無勢、大声に小声。

そして・・・さすがの私たちも気づきました。

帰り、この状態で寝て帰るの!? これが本物の雑魚寝・・・

帰りの事を考えると不安な気持ちになりつつも、奄美大島で過ごした時間は正真正銘、最高の時間でした。マングローブの森でのカヌー体験。初めてのシュノーケリング。

フィンの使い方を習った後、お魚さん用の餌、と渡された魚肉ソーセージを、共食いだなと思いながら握りしめ、どこまでも透き通った海を泳いでいると、魚肉ソーセージに寄ってくる無数の魚たち。

シュノーケリング体験中、感動を友人と分かち合いたくなり、「〇子(友人の名)、すごいね!」と後ろを振り向くと・・・なんと、一緒に泳いでいたはずの友人がいない、ま、まさか溺れた??

・・私が心配して探しまくる、なんていうハプニングもありましたが(泳ぎの苦手な友人は、ライフジャケットを借りに岸に戻っていただけでした)友人と共に見た、海に沈む夕焼けの景色は今も目に焼き付いています。

奄美大島夕焼け

そんな奄美大島旅行で見つけた、自分用のお土産が「幸福の木」でした。値段300円。小さな袋の中に、小さな木のかけらが2本入っていました。説明には、“木に切りこみを入れ、水に漬けておくと芽が出てきます”と書いてありました。さらに、“芽が出たら、幸せになれるかも!?”のポップアップ。

幸せになるための300円の投資、安いもんだ!と購入。

帰宅後、早速切りこみを入れ、水に漬けてみると芽が出た!芽が出た後で、土に植え替え、大きくなってきたら鉢を替えて、と世話をし続けていたら、いつの間にかウン十年が経ちました。

オリジナルの木のかけらはとっくに枯れてしまったけど、不思議なもので、本体が枯れそうになると、横から芽が出てきて、2本目が出てきて、「幸福の木」は大きくなったり小さくなったりを繰り返しながら、ずっと生き続けています。私がそれなりに幸せな人生を送ることができているのは、この「幸福の木」のおかげかもしれません。

画像1

あ、帰りのフェリーはどうだったかって?

どうしても雑魚寝が出来なかった女子2人。2等船室にいること自体落ち着かず、フェリーの甲板に避難。同じく甲板に避難(?)していた男性2人と夜通しおしゃべりしながら徹夜して帰りました。

その後、その時出会った男性と素敵な恋に落ちて・・・などという、ロマンティックな事は何一つなかった事も最後に記しておきたいと思います。

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