Sea-Style「最深の湾と富士山と」 【ヤマハマリンクラブ・シースタイル】
富士山の麓に広がる駿河湾は水深2500メートルを超える、国内で最も深い湾として知られ、海岸線からわずか1マイル(約1.8キロ)ばかりで水深は500メートルに達します。伊豆半島側の海岸線には入り江や港が点在し、クルージングからフィッシングまで幅広いボート遊びができるゲレンデとして知られています。今回はその中でも定番ともいえる沼津から戸田港へのランチクルーズをご紹介します。
都会の喧噪を離れて
首都圏のマリンファンにとって駿河湾と言えば、富士山と深海の海、そしてクルージングもボートフィッシングも楽しめる贅沢なロケーションとして知られています。このなかでシースタイルのホームマリーナは3カ所。西側にあたる清水港には富士山羽衣マリーナがあり、東側の内浦湾にはヤマハマリーナ沼津と富士ボーディング(静浦マリーナ)がありますが、この海に通われるオーナーさんは、東京湾や相模湾のような賑わいのある海とは少し距離を置いて、海と接している方が多いそうです。
そうした少し隠れ家的な海としての魅力のある駿河湾ですが、シースタイルではビギナーに優しい海として知られています。クルージングでは適度な距離に係留や停泊地があり、釣りではポイントがはっきりしているので、目的があれば1日で十分な遊び応えがあり、また目的がなくても富士山を眺めながらボートを走らせるだけで十分なリフレッシュタイムにもなります。
深海の海と歴史に思いを馳せる
今回の目的地に選んだ戸田港は沼津からは定番のクルージングコース。深海魚料理で有名な戸田港でランチを楽しみ、時間があれば竿を出してみたり、入り江で休憩を取ったりといろいろなアレンジを加えて海の時間を楽しむことができます。時間的にも片道で約一時間の距離にあるので、ヤマハマリーナ沼津を出港し、富士山の姿を右舷側に見ながら、スキューバダイビングで有名な大瀬崎を過ぎれば、あっという間に戸田港の入り口となります。
ちなみにこの戸田港はタカアシガニを始めとする深海魚を提供する食事処で有名ですが、日本初の洋式帆船である『ヘダ号』の建造が行われた港として日本史に登場しています。その詳細は御浜岬の戸田造船郷土資料博物館にありますが、幕末の日ロ通商条約を締結するために来港したロシアのディアナ号が、下田沖にて安政の大津波に遭遇して大破し、修復に向かうも戸田沖にて沈没。ロシアの使節団が帰国のための船を、この戸田村の船大工と共に建造したことで、本格的な洋式帆船の建造技術が伝わったとされています。港に歴史ありとはよく聞きますが、この戸田港は日本の造船文化に深く関わった港でした。
気軽に楽しめるロケーションが魅力
戸田港からの帰路は往路と同じコースで。大瀬崎をかわして、進路を淡島方向に合わせれば後は直進のみという、シンプルなコースで迷うことはありません。今回は戸田港へのクルージングを紹介しましたが、同じように沼津港の利用も事前連絡で可能とのこと。釣り良し、クルージング良しのロケーションは、1日中ボーティングが楽しめるゲレンデなので、遊びのプランに困ることはありません。富士山を眺めながらの贅沢な水上時間を味わってみてはいかがでしょうか。