天日干しか、乾燥機干しか。干物のついての悩み。 【レシピ- 船厨】
海辺にいることを実感させてくれる風景というものはいろいろです。空飛ぶカモメやその鳴き声であったり、ずらりと並んだ漁船とそれにぶら下がる、きれいな陽を写すガラス製の集魚灯であったり。街道沿いに並ぶ定食屋や、防波堤の際に無造作に積み上げられた漁網などに海っぽさを感じて、しみじみする方もいると思います。
小さな漁港のスロープを上ったところにある、ちょっとした広場に天日で干された網の上の魚もまた、海辺を感じさせるもののひとつではないでしょうか。
日本人にとっては馴染みの深いこの「干物」、古くから保存食として重宝されてきました。古代日本では「からもの」と呼ばれ、平安京では新鮮な魚介類が少ないがために副食物として重宝されていたとされます。水分を蒸発させ、細菌類の繁殖を抑えることで保存食たる機能を持たせるのですが、それだけでなく、日に干すことで独特の旨味成分が醸成されるのだそうです。
さて、この干物、一般的には天日干しが旨いとされていますが、一説によれば「天日の場合は太陽の照り方や、湿度、温度が毎日異なり、安定しないために、干物の味を決定づける重要な条件が変わってしまう。実は乾燥機で干したものの方が上質な干物ができる」のだそうです。
たかが干物。されど干物。奥が深いですね。ともあれ、焼いたり、スモーク(燻製)にしてみたり、食べ方はいろいろ。今回は鉄鍋(ダッチオーブン)を使ってキンメダイとイトヨリの干物を手軽な温燻製にしてみました。
またまた旨味が増してしまいます。