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せっかちな漁師のご飯で春を味わう 「深川めし」 【船厨-レシピ】

 「江戸っ子は気が短い」というのは定説です。落語などでも江戸の町民は気が短い(というよりそそっかしい?)キャラクターとして、おもしろおかしく登場したりしますもんね。

 いわれてみれば、食事に対してもその傾向が見受けられるような気がします。たとえば、にぎり寿司。もともと寿司=鮨とは、酢を使って魚介を熟成させ、日持ちを良くさせたモノが起源のようですが、江戸っ子は「そんなに待ってられるか」とばかりに炊き立てご飯に酢をまぜ、新鮮な魚介を載せて食べ出しました。
 いまでは一般的になっている「立ち食い」というせっかちなスタイルも鮨から生まれ、屋台のそば屋などに広がっていったものと聞いたことがあります。

 どうやら、この「深川めし」(深川丼)も、江戸っ子の“せっかち”という気性が生み出したらしいんです。もともとは深川に住む忙しい漁師が、アサリとネギの味噌汁を「面倒くさい」とばかりにご飯にかけて、かき込むようにして食べていたものがその起源だといいます。ちなみに深川は現在の東京都江東区あたりの下町。ここにも漁師がいたんですね。
 いまでは名物ともなっていて、「深川めし」も“炊き込みご飯風”に、少しばかり上品なものになっています。

 味噌仕立てが本家本元のようですが、ここは醤油仕立てで。アサリに加えて青ネギと生姜の風味が利いた「深川めし」は、春の味がします。

「深川めし」

●材料(4人分)
アサリ500g、青ねぎ4本、生姜10g
煮汁:アサリのゆで汁2/3カップ(足りなければ水を足す)、砂糖 大さじ2.5、醤油 大さじ2、酒 大さじ1
●作り方
1)アサリは砂を吐かせ、よく洗う
2)鍋にアサリを入れ、酒を加えてふたをし、強火にかける
3)アサリが開いたらすぐに火からあげて身を剥く(汁は煮汁用にとっておく)
4)青ねぎは2~3センチにざく切り。生姜はせん切りにする
5)煮汁を沸かし、青ねぎ、生姜、あさりの順に入れ、ひと煮立ちしたら火を止める
6)炊き立てご飯に5)をかけ、好みで刻み海苔などを加えて出来上がり

※この記事は過去の「Salty Life」の記事に加筆・修正して掲載しています。

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