マルセイユへ、それぞれの道と思い。 【We are Sailing!】
パリ大会(セーリング競技の会場はマルセイユ)への出場を目指すヤマハセーリングチームのセーラーたち。その選考対象となるレガッタは、2024年2月24日から3月3日にかけてスペインのパルマ(マヨルカ島)で開催される「470級世界選手権大会」、そして同じくパルマで3月29日から4月6日にかけて開催される「第53回プリンセスソフィア杯」の2本に絞られました(2023年12月2日時点)。
ヘルムスマンの髙山大智選手、磯崎哲也選手は、ともに前回の東京キャンペーン以降、プリンセスソフィア杯などを通してこの海域での経験は豊富です。髙山選手と盛田冬華選手のペアは初の海外遠征となった第51回大会で11位。また磯崎選手と関友里恵選手も第52回大会で11位という成績を残しています。ただし、パルマでの豊富な経験値という点では、他の日本人セーラー、海外の強豪セーラーにとっても同じこと。厳しい闘いになることに変わりはありません。
今年の世界選手権で3位に入賞し、勢いに乗る磯崎/関のペアは、12月から1月にかけてカナリア諸島のランサローテ島に拠点を移して活動。ある大会を軸に、この地に強豪の集まる期間であり、トレーニングレースを積み重ね、コンビネーションを高めていく計画です。
「結果を出せずにチームを離れて4年間、まったくと言っていいほどヨットに乗っていなかったんです。とにかく実績のある磯崎さん(2018年世界選手権2位など)の足をひっぱらないようにと、この1年間、必死でトレーニングを積んできました。競技に対する姿勢なども含めて磯崎さんに教わることは多いです。世界選手権で結果を残せたのは良かったと思います」(関選手)
「ペアとして着実にレベルアップはしてきているなとは感じています。大会(世界選手権)前もメダルレースには行けると思っていましたし、結果的に想定を上回る順位を獲得することができました。関はこの一年間で、世界で最も成長したセーラーだと思います」(磯崎選手)
髙山/盛田のペアは選考レースまでの間、活動拠点を主に日本に置き、活動ベースである葉山、そして沖縄での合宿などに参加しながら、自分自身との闘いを課し、ペアとしての完成度を高めていきます。
「特にこの一年は思うような結果が出せず、いろいろと迷いのあるまま2023年の世界選手権を迎え、目標に届かなかった。逆に吹っ切れたところがあります。時間はまだある。チャレンジャーとしてゼロから仕切り直したいと考えています」(髙山選手)
「これまでのレースで順位以上に確実に積み重ねてきたものがあると実感しています。それを発揮できていないのは、コーチなど周囲からいわれるがままで、自分の思いに確信が持てずに出し切れなかったからだと思う。体制も変えて、残された時間のなかで今まで以上に積極的に攻めることのできるクルーになりたいです」(盛田選手)
前々回の世界選手権で思うような結果が出せなかった昨年の11月。盛田選手が「まだまだです。必ずみんながあっと驚くような成長をして見せます」と力強く語っていたことを思い出します。
4人のセーラーたちのミッションは日本の代表の座をつかみ取ること、そして何よりも自分たちの努力を通して、一人でも多くの人たちにヨットレースの魅力を知ってもらい、一緒に“感動”してもらうこと。
選考レースまでの期間、それぞれの思いと共に活動していく彼らに注目です。