伊予の海賊はこんなに美味いモンを食べていたのか。 【レシピ- 船厨】
愛媛県の沖合、宇和海・備後水道の真ん中に日振島という島があります。面積は3.25平方キロメートルという小さな島なのですが、グレ(メジナ)やヒラメの絶好の釣り場として、太公望にとってはまことに魅力的な島です。
中世には伊予水軍のルーツとも言える藤原純友がその一党1000隻の船を擁し、この島を本拠地としていました。
ここでは「鯛めし」とも呼ばれる郷土料理があります。別名を「ひゅうが飯」といい、松山や宇和島などではその名の方がむしろ有名かもしれません。「ひぶりじま」が訛って「ひゅうが」といわれるようになったとか、九州の日向(ひゅうが)から伝わった料理なのだとか、いくつかの説を目にしました。前者の方が有力のようですが、「ひぶりじま」が訛って、どうしたら「ひゅうが」になるのか、今ひとつ無理があると思わないでもありません。
さて、料理はタイの切り身を醤油ベースのタレに生卵といっしょに漬け、それを温かいご飯にかけるというご飯モノ。作り方はシンプル、それでいてとても美味いんです。一見、豪快な漁師料理に見えなくもありませんが、味はまことに繊細で上品です。いにしえの海賊や漁師たちは沖でこんなにうまいモンを食べていたのか、と感動すらします。
タイの代わりにアジなど他の魚を使うレシピもあるようです。今回はそろそろ旬のカツオを使用。決め手はミカンの香りです。なお、これは見よう見まねでつくったもので、筆者はいわゆる「本場」の「ひゅうがめし」を食したことがありません。その点、お許しを。