暗闇が支配する夜の海で光の恩恵 【海の道具】
夜の海は、周りに光源が少ないため、かなり暗い。そりゃあ、そびえるビルも、きらめくネオンも街灯もないわけですからね。そこでデッキ上を照らす必要が生じるわけで、デッキライトの登場と相成ります。
最近の流行は、ご多分に漏れず省エネ・長持ちのLEDが主流となってきています。部屋のように壁や天井に囲まれているわけじゃないから、光はあくまで下方向にだけ広がってくれればいいので、たいがい横長のダウンライトになっています。
取り付ける場所がブリッジ(船橋/船室)のルーフだったり、オープンボートだったらポールだったりするから、角度調整できるものが重宝します。光量が強くても思ったほど明るく感じられないのは、やはり壁とかの反射がないから。その辺は、白いデッキを照らすことで補えます。
そうそう、赤色と白色が切り替えられるものもあります。赤色というと危険を知らせるためかと勘繰ってしまいますが、さにあらず。実は赤い光だと、視線を外の暗いところに向けた時、白色に比べると目が暗さに慣れやすいのだそうです。デッキで作業をしながらも周りの海上をワッチ(見張り)をしなければならないボートでは、この性質はありがたい。
大型船の操舵室が夜間でも室内灯を点灯しないのは、闇に目を慣らすためだそうです。因みに緑色も同じような効果があるようで、レーダーのモニターの表示カラーが赤だったり緑だったりするのはそのせい。
光を発せられるというのは、目からの情報に最も頼っている人間にとって、行動範囲や行動時間を広げる上でとても重要なファクターです。夜間に仕事ができるということが、どれだけ人類の発展に寄与してきたかを考えると、デッキライトの有り難さをしみじみと感じることができるというものです。