小さな春の恵みに感謝しつつ、浅蜊ご飯 【船厨- レシピ】
静岡県の浜名湖は全国でもトップクラスの浅蜊=アサリの産地でした。ところが2016年のアサリの大量死以来、アサリの漁獲量は復活することなく、深刻な減少傾向にあります。当初は台風や赤潮が原因と見られていましたが、ここまで水揚げ量は回復することなく、不漁が続いたままで、確かな原因は不明なままです。
こうした状況のなかで、4月から8月にかけて渡船で干潟に行って楽しむ「浜名湖の潮干狩り」は、今年も中止ということになったようです。5年連続です。
浜名湖に限らず、日本におけるアサリの漁獲量は減少しています。たしかにスーパーなどの売り場を見ていると、国産よりも輸入品が幅をきかせているように思います。全国的な水揚げ減少の原因は、乱獲やアサリの棲む干潟の埋め立てと推察されており、そのため、各地でアサリが生育しやすい人口干潟を醸成したり、漁師は漁師で漁期と操業時間、漁獲できる貝のサイズを決めるなど自主規制を課し、資源保護と水揚げ金額の安定化を図っているのが現状なのです。
魚にしても同じことが言えますが、空豆ほどのこんなに小さな貝が、人の生活を支え、潮干狩りのように楽しみも与えてくれていると思うと感慨深いものがあります。貝塚の遺跡に見られるように、古代から貝はそうした役目を担ってきたのです。
浜名湖に限らず、資源回復を願うばかり。潮干狩りにしてもしばらくは我慢を続けたいと思います。
日本では50%近くの水揚げを占める、愛知県産のアサリを使って「浅蜊ご飯」をつくりました。アサリの煮汁を使ってご飯を炊きます。具はいつも通り、主役のアサリのみ。炊きあがって、窯の蓋を開けた瞬間に立ち上る香りは、春そのものです。自然の恵みに感謝をしながら、頂戴したいものです。