ホタテとマダイの秘密の関係「鯛のスパゲッティ」【船厨】レシピ
日本人にとって、魚の王様と言えば「マダイ」でしょう。その均整のとれた、ほんのりと朱色に染まった魚体は見た目に美しく、古くから祝い事に供されてきました。見た目だけでなく、とても美味しいところも素晴らしい。味としては淡泊といわれますけど、人間、歳を重ねるにつれ、こうした味わいを楽しめるようになる気がします。
最近では「タイラバ」という、なかなか気の利いた気軽な仕掛けでマダイを釣る人も増え、ボートフィッシングでも人気のゲームフィッシュのひとつです。ところが、なかなか簡単には釣れないのです。「そんなことはないだろう」という方もいるかもしれませんが、編集部の中では「なかなか釣れない」こととなっているのです。
そんな編集部の中でも突出して「なかなか釣れない」筆者なのですが、それでもマダイが大当たりしたことがあります。
青森県陸奥湾でホタテ養殖の取材をしていた最中のことでした。お仕事中、養殖作業船の船頭さんが釣り竿を貸してくれたことがあります。ホタテ養殖の作業中は、ぼろぼろとロープについた小さなエビやら海藻が海中に落下する。それらを求めてマダイが集まってくる。 それを釣ってみろ、というわけです。
餌はホタテのむき身。船頭の奥さんが、貝を開け、身を剥き、船の縁(ガンネル)に並べていってくれます。道糸に簡単なオモリをつけ、その下にハリスと釣り針という、これ以上はないというほどシンプルな仕掛けです。いわゆる棚など関係ない。針に餌をつけ、海に仕掛けを落とせば、すぐに70cmはあろうかという見事なマダイが食いついてきます。貴重な体験でした。だが、いちおう、仕事中のことだったので、小心者の筆者はこの素敵なサボりの体験を長い間、人には言えずにいました。
つい先日のこと。近所のスーパー魚売り場の氷の入ったトレーに、きれいなマダイが並んでいました。トレーに立てられていた値札を見ると、めずらしく「青森産」とありました。というわけで、スパゲッティをこさえつつ、ささやかな秘密を白状することといたしました。
「鯛のスパゲッティ」
■材料(2人分)
スパゲッティ200g、マダイの切り身2切れ、ニンニク2片、マッシュルーム6個、ルッコラ数枚、オリーブオイル大さじ4、塩・胡椒適宜
■作り方
1)マダイの切り身は塩胡椒しておく
2)マッシュルーム、ニンニクは薄切りにする
3)鍋に湯を沸かし、スパゲッティを茹でる
4)フライパンにオリーブオイル大さじ1を熱し、鯛の切り身を皮から焼き、裏返して、充分に火を通してから皿に取る
5)フライパンにオリーブオイル大さじ3、にんにくとマッシュルームを入れ、中火で香りがたつまで炒め、強火にしてスパゲッティの茹で汁・大さじ2を加え、乳化させ、茹でたスパゲッティを加え混ぜ合わせる
6)皿に盛り鯛の切り身をのせルッコラを数枚飾る