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進む道を指し示す、一本気な航海計器。

 ボート免許を取得された方はきっと経験があるでしょう。ハンドグリップの頭に球体状の物を載せたハンドコンパスという測定器をかざして、試験官が指し示す目標物の方位を告げたりしたことが。

 なんでもかんでもデジタル化が進む中で、実にアナログな計測器械、それがコンパスです。でも、この器械がいまだに使われているのは、アナログであるが故なんですね。
 電気があろうが無かろうが、夜でも昼でも、霧が出ようが晴れようが、コンパスは常に方位を示し続けてくれます。地球が持つ磁場という自然現象を利用しているので、動力源もいらず、天候にも左右されないのです。

 普段はGPS機能を駆使した航海計器に頼ってしまいますが、もしもバッテリーが上がってしまい、「漂流」なんてことになったら、方角を知るにはコンパスを頼るしかありません。電気や燃料を使わないアナログなところは、そんな時、実に頼もしい存在だと思えます。

 そんなコンパスの構造をよく見てみると、液体に満たされた球体の中、針の上に方位を示す円盤を載せ、フレキシブルに動けるようにできています。機能のかたくなさに比べて、実に臨機応変といえます。
 一本気なコンパスの機能は、情報が洪水のごとく溢れ返る現代にあって、右往左往している我々に、何か訴えてくるものを感じます(私だけ?)。

 複雑な人間関係や世間のしがらみを、柳に風とばかり受け流しながら、自分の進む道を一途に指し示す。ああ、自分もそんな生き方をしたいものだと、暫し波に揺られながらコンパスを眺めてみるのもいいかもしれません。

※この記事は過去の「Salty Life」の記事に加筆・修正して掲載しています。



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