人を助けてくれるイルカも虫の居所が悪いときがあります。 【海の博物誌】
海の生物の中でも絶大な人気を誇るイルカ。頭が良く、人なつっこいため、「船乗りとイルカの間に友情や信頼関係ができた」といった伝説が多いようです。大昔の話はなかなか確かめようがありませんが、その裏付けになりそうな出来事は近年になっても聞こえてきます。
1988年11月、インドネシアのタンカーがジャワ島沖で高波を受けて転覆してしまいました。14人いた乗組員のうち2人が救命胴衣を頼りに漂流していると、イルカが周りを囲んでつっついたり、押したりしながら、近くの島まで案内したというのです。
また、同じインドネシアのスマトラ島では、時化で遭難した漁師がサメに囲まれたのをイルカが助けているが、イルカはサメを追い払った後、やはり漁師を島まで送り届けたという。
オーストラリアのシドニー近くでサーフィンをしていた少年が鮫に襲われそうになったとき、イルカの群れがやってきて、サメを追い払ってくれたという話もあります。
本当にイルカは意図して助けてくれたのか? 好奇心旺盛な故、ただの遊びの延長だったのではないか。イルカの本当の気持ちはわかりません。でも、イルカにまつわるこうした話は、ギリシア神話にまで遡って、ごまんとあるのです。
その一方で、つい最近、イルカと戯れることのできる海岸で、人がイルカに噛まれて大怪我をしたというニュースもありました。
いずれにしろ、イルカとは日頃から仲良くしておいた方が良さそうです。