車いすに彩りを。想いのこもったアートデザインの裏側。
こんにちは。ヤマハ発動機のNと言います。
今日は、「海」とはちょっと違うお話です。
とつぜんですが、ヤマハ発動機は、「電動車いす」をつくっています。
「車いす」と聞いて、皆さんがイメージされるのは、手で押して動かすタイプのものだと思います。「電動車いす」は、手元のスティック操作のみで動いたり、電動自転車のように車いすの動きをアシストしてくれたりする製品です。
(正確には、電動車いすと、車いすの動きをアシストするための機能がつまっているユニット部分を作っていますがここでは割愛します。)
「今までは一人で出かけることができなかったが、電動車いすのおかげで一人で出かけられるようになり、本当に嬉しい。」
「電動車いすに替えて、介助なしで一人暮らしを始めました!」
こんなお声を頂きながら、発売より26年間、車いすを必要とする多くのお客様の生活をアシストしています。
話は少し変わりますが、私の祖母は、要介護レベル5の車いすユーザーです。認知症が進みすぎて全く話すことが出来ず、意思疎通もできません。
10年くらい前から認知症を発症し、さらに数年前に家の中で転んで骨を折ってしまって、そのまま歩くことが出来なくなってしまいました。車いすでの生活って、突然やって来るんだなと、当時はびっくりしたものです。
祖母がどんな車いすに乗っているかというと、介護保険でレンタルした、手押しのものを使っています。介助しやすくするためでしょうか、結構サイズ感が大きく、リビングや寝室に出入りするにはギリギリの大きさです。
デザインはというと、シートや取っ手部分などの全体は黒く、明るいオレンジのパーツがところどころついています。我が家の車いすはレンタルですし、実用面が一番重要となるため、車いすってそういうベーシックなデザインが一番なんだろうなと思っていました。
私もヤマハ発動機に入社するまでは全く知りませんでしたが、実は車いすって、おしゃれができるんです。
おしゃれの方法は簡単。車いすのホイール(車輪の中の部分)に、「スポークカバー」というものを装着するだけなのです。車輪は車いすの大部分の面積を占める場所ですので、このカバーをつけることで、自分好みのイメージにガラリと変えることが出来ます。弊社がつくっている電動車いすはもちろん、手押しの車いすでも装着することができますし、ホイールの大きさによって幅広くサイズ展開しているようです。
そして、先日当社からリリースされたのがこちら、株式会社ヘラルボニーとコラボした、アートな「スポークカバー」です 。
▼ホイールの部分についているのが、「スポークカバー」
社員が自分で言うのもなんですが…このデザイン、めちゃくちゃおしゃれじゃないですか?
こんなデザインの車いすを街中で見かけたら、思わず「おしゃれですね」と声をかけてしまいそうです。芸術作品に疎い私ですが、アート作品を身にまとうのって素敵!と思ってしまいました。
このアートデザインは、株式会社ヘラルボニーがライセンス契約を結ぶ、障がいのあるアーティストの作品を起用しています。
HERALBONYは、日本全国の福祉施設に所属する障がいのあるアーティストと共に、新たな文化の創造を目指す岩手県発のアートライフブランドです。ヤマハ発動機はHERALBONYの理念に共感し、今回コラボをさせていただくことになりました。
デザインには、佐々木早苗さん(るんびにい美術館・岩手県)の作品「(無題)」と、松本真由美さん(のぞみの家・東京都)の「プール」という作品を起用しています。
▼作品名「(無題)」
▼作品名「プール」
車いすのユーザーさんには様々な方がいらっしゃいますが、私の祖母のように、車いすの生活って案外突然やってきたりするものなのかもしれません。今までの生活とガラリと変わってしまう中であっても、車輪を彩り、ユーザーさんの個性を尊重し、心まで明るくなるような商品を提供できれば嬉しいです。
そして、これを読んでくださっている皆さんには、もしこれを街中で見かけたら、「あのおしゃれなカバーだ!」と思い出していただければ幸いです。
私の祖母も、もともとおしゃれが大好きです。認知症じゃなかったら、プレゼントしたら喜んでくれただろうな…。
HERALBONYさんについて気になった方は、公式noteも覗いてみてください。
(NN)