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それでも人の力は欠かせません。 【海の道具】

 自動でボートの操舵そうだをしてくれるオートパイロットというと、何やら電子機器の粋を集めた精密機械を想像してしまいますが、ボートの場合、それほどのことでもありません。もちろん、最先端では、GPS機能と連動し、モニターの地図画面上で行きたい場所を指示でき、転舵するポイントを何カ所も登録でき、しかも転舵ポイントは自動で大回りしながらスムーズに走り抜けるなんてこともできるのですが、簡易なものはコンパスと組み合わせて、向かいたい方向に自動で舵を操作するだけといったものもあるのです。

 ボートの場合、車のアクセルにあたるスロットルは手を離せばそこで固定されます。ついでながらお話しすると、ボートのスロットルの多くは、レバー1本でクラッチと前進後進、そしてスピードをコントロールします。中立から前進に入れ、更にレバーを前に倒せばエンジンが高回転で回り、そこで力を緩めれば、その回転数のままエンジンは回り続けるといった具合です。

 ところが舵は波や風、潮流に翻弄され、真っ直ぐ走るためには常に左右に細かく切り続けなければなりません。その代わり、大海原に出てしまえば、隠れ岩などない限り、道なき道を行く、というか、真っ直ぐ目標に向かって進むことができます。長距離のクルージングを行う場合、ずっとハンドルを握りしめて舵をとり続けるのはなかなか苦行となるので、概ねの方向に舵を切り続けてくれるオートパイロットが活躍するというわけです。

 そんな便利なオートパイロットですが、他の船や漂流物はこちらを避けてはくれません。こればっかりは目視して、マニュアルで回避しないとなりません。
 常に周囲にアンテナを張りめぐらせて注意を怠らず、安全回避に努めること、これはどんなに機械化が進んでも人間がしなくてはならないこと。
 でも、それがあるから、操船は楽しいんじゃないかな。

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