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横滑り、大歓迎。「サイドスラスター」 【海の道具】

 クルマでいうところの縦列駐車と同様、キャプテンにとって船の着岸は、腕の見せ所。でも、逆に鬼門と考えている方もいるかもしれません。
 エアフェンダー(防舷材)を出しているとはいえ、桟橋に平行に着けないと船のハル(船体)を傷つけてしまうし、折角いい感じで桟橋に寄っていったと思ったら、他の出航艇の引き波に煽られて慌てて舵を切り返す、なんてことは日常茶飯事です。

 着岸ばかりでなく、離岸するときにも緊張を強いられることはあります。人気のクルージング先の泊地で、前にぴたりと他のボートやヨットが停泊されているなんて場面はけっこう訪れます。

 そんなシーンでエンジンと舵だけで離着岸をするのは至難の技なのです。船が大きくなればなるほど、その度合いは増します。そしておもうのです。「船が少しだけ真横に移動できたらどんなに楽か」と。それは決してビギナーキャプテンばかりではないはず。

 そこで現れる力強い助っ人が「サイドスラスター」。直訳すれば判る通り、船を横に滑らせるための装置で、その多くは喫水下の船首か船尾に装備されていて、横向きにセットされたプロペラを回すことで、船を左右に動かします。
 そのプロペラはさして大きいものではありませんが、船は水上に浮いていれば、ちょっとした推進力でも動かすことができます。実際に動かすのは、左右数メートルだけなのですが、これができるとできないとでは大違いです。

 操作は実に簡単で、スティックや左右を示すボタンを操るだけで、簡単に細かな横移動をやってのける、実に頼りになる横滑り機械です。
 スラスターさえあれば、離岸着岸の難易度は下がり、精度は上がります。そしてキャプテンとしての負担が下がり、評判は上がる。
 親父ギャグの“すべり”は禁物ですが、船の横滑りはみんな大歓迎、なのです。

 あれ? すみません、いま滑ってますか?

※この記事は過去の「Salty Life」の記事に加筆・修正して掲載しています。


ヤマハボート


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