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黄昏のビーチをミステリアスな電子音楽で。 【キャビンの棚】

 海辺に人が集まり、音楽を楽しむ。こんなに単純なことが、海の時間をとても贅沢なものにしてくれることがあります。そんな海の過ごし方の一つが、ビーチパーティ。
 古くはイギリスのブライトン、近ごろはタイのパンガン島がビーチパーティで世界的に有名な場所といわれてきました。でも、筆者としてはスペインのイビサ島こそ、その代表的な場所だと思っています。それは前者が夜通しお祭り騒ぎする野外フェス的なビーチパーティなのに対し、後者はその島の自然や文化に根付いたビーチパーティが人気だから。

 イビサ島で一大名物なのが、日没前後の黄昏時を海辺で過ごすビーチパーティ。音楽を聴きながら食べたり飲んだりするのはもちろんのこと、瞑想にふけったり、焚火をただひたすらに眺める人もいたり、誰もが自然体になれるとても自由な時間です。
 そんな時間にかかる音楽は意外にも人工的な電子音楽だったりするからおもしろい。特にアンビエントという音楽は、黄昏時と鉄板の組み合わせです。アンビエントはもともと空港や駅など公共施設の環境音楽として生まれたこともあり、さまざまな場所や時間の雰囲気に合わせて魅力的に演出してくれます。それは自然現象にも応用可能で、黄昏の時をもっとロマンチックにしてくれるのです。

 さて、今回紹介するのは、イギリス出身で電子音楽のミュージシャンであるBonoboの新作アルバム「Fragments」です。英国人らしい美しいメロディで奏でるアンビエントから、ノリの良いビートを刻むブレイクビーツやテクノといった電子音楽を楽しめます。
 オススメは、5曲目のTides(潮汐)。コラボで参加したアメリカ出身の詩人でありR&Bシンガーのジャミーラ・ウッズが醸すミステリアスな曲の雰囲気は、ドラマチックな黄昏のビーチにぴったりです。

 “パリピがシャンパンを開けて大騒ぎ”とは対照的な、ちょっと静かなビーチパーティ。ゆったりした音楽で贅沢な海の時間を過ごすのは、悪くないですね。

「Fragments」
Bonobo
レーベル:BEATREC/NINJA TUNE
参考価格:2,420円(税込み/国内盤/参考価格)



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