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休みなく働いてくれる陰の功労者 【海の道具】

 ボートにおいてポンプはとても馴染みあるマシンです。デッキを洗うために海水をくみ上げて散水するポンプ(デッキウォッシュ)もあれば、逆に船の底(床下)に溜まった水を吸い上げ、排水するためのポンプもあります。釣った魚を入れておくイケスには循環ポンプにエアポンプ、トイレにも排水と汲み上げのポンプが付いているし、清水タンクにも付いています。
 家や車にはここまで沢山のポンプは付いていないはずです。ボートにポンプが多いのは、それが水の上にある“居住空間”である証左ともいえます。

 ボートにおいて一番重要なのはやはりビルジポンプ、つまり排水用のポンプですね。これが作動しないと、沈没の憂き目に会います。コイツが実に働き者で、オーナーがボートを降りてもずっとお仕事を続けています。
 センサーを内蔵し、水が溜まると自動的にスイッチが入って水を汲み上げ、外に吐き出してくれるのです。それは、海上係留している場合だけではなく、上架していても同じで、雨水が流れ込んでも作動して水を排除してくれるのです。働き者です。

 ボート本体は岸に上がったり、ロープで舫われてゆったりと寛ぎ、エンジンや他の機器類も電源が切られてゆっくり休んでいるというのに、ビルジポンプときたら一人(?)気を緩めることなく見張りを続け、不審な水があればたちどころに対処する。その姿には忠実な番犬にも似たいじらしささえ覚えます。

 ポンプというものは、存在感が薄く、特に主張することもなく働き続けていながら本体の生命を維持している器官なのだな。それはまるで、人間にとっての心臓のようなものかもしれない。

 たまには労をねぎらい、ウエスで汚れでも拭き取ってご機嫌伺いをしてあげましょう。

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