船上カップ麺を美味しくするインバーターの話。 【海の道具】
インバーター? エアコンの話か? と思ってしまいそうですが、電気の変換器のお話です。
車もそうですが、ボートも同じく電気はバッテリーを通して供給されます。ということは、つまり直流12ボルトとか24ボルトといった電力が供給されるわけです。
マリンの専用電気機器であればそれをそのまま使えますが、家庭用の電化製品を使うとなると、これを交流100ボルトに変換しないとなりません。そこで登場するのがコンバーターという変換機です。
コンバーターは交流を直流に変換する回路のことで、インバーターは直流を交流に変える回路なので、コンバーターはちょうどインバーターの逆の働きをします。だからマリンの場合、主に使われるのは、インバーターということになります。
それならば、この文の最初に出たエアコンは家電なのに、インバーターが必要なのか、ということをほんの触りだけ説明すると、エアコンはモーターを駆動させて仕事をさせる機械で、モーターは基本的に直流で動かします(プラモデルで使ったモーターを思い出してください)。けれどその制御が複雑なので、エアコンの機械内部にインバーターを装備して、自在に電圧や周波数変化させている(らしい……)のです。
多くの人は、ボートで電気給湯器や電子レンジなどを使えたら、便利だと思うでしょう。
インバーター自体は、電子制御盤の隅に設置して、コンセントを外に出していたり、インダッシュでコンセント部分だけ表に出ていたりするので、あまり本体部分を目にする機会はないかもしれません。
お乗りになったボートに電気湯沸かし器があって、お湯を沸かして温かいカップ麺をこしらえている3分間に、ボートの暗いところで一生懸命働いているインバーターに思いをはせてあげると、カップ麺もほんの少し、いつもより美味しくなるかもしれません。