代わりのきかない存在〜ウインチハンドル 【海の道具】
特殊なマリンアクセサリーの話で申し訳ない、と、あらかじめお断りしておきます。今回はウインチの、さらににそのハンドルの話です。
ウインチとは巻き上げ機のことで、ボートにもウインチはついているけれど、ほとんどが電動式となっています。ボートのウインチは、多くがアンカーを巻き上げる時に使用します。
ウインチハンドルが必要となるのは、手動のウインチが活躍するヨット、そのなかでもセーリングクルーザーに限られます。
自然を相手に航行するヨットは、極力電力や動力を使わないようにしようと考えます。それは、もう“ストイック”というくらい拘っているセーラーが多いような気がします。その考え方の根底には、動力や電力はなくなってしまうことがありますが、体力や自然の力(風や波)は無くなることはない、という思いがあるからではないでしょうか。
いや、体力こそ、すぐに消耗するだろ、といえばそうなのですが、食うなり寝さえすれば回復するだろう、といった反論が飛んでくる気がします。
ウインチを使うのは、主にセールを上げたり、風に対してセールの角度を変えたりするときです。ウインチの頭の部分には*型の穴があり、そこにウインチハンドルの先端にある*凸型の突起を入れる。そうしておいて、ハンドルをぐるりぐるりと回していけば、ウインチに絡んだロープが巻き取られていく仕組みです。
電動ウインチにも同じような機構がついているものもあります。ウインチハンドル自体の機構は至極単純で、唯一メカニカルなのは、ラチェット式になっているものがあって、一方向にだけしか回らないようにすることができることくらいでしょうか。
ヨットには、たいていウインチハンドルが複数本常備されている。もし航行中に落水させて予備がなかったら変わりがきかないから。
地味で単純ですが代わりがきかない存在、そんな存在に、私も成りたい。