間髪入れずにボールを投げ、取り続ける名選手 「チャープ式振動子」 【海の道具】
最近、ボート業界のなかで、「チャープ」なる言葉をちらほら耳にするようになりました。何やら可愛らしげな言葉ですけど、さて、「チャープ」とはいったい何のことでしょう。
この言葉が出てくるのは航海計器、それも魚群探知機関係の記述があるサイトや読み物などです。結論から言うと、「チャープ」とは魚群探知に重要な役割を果たす「振動子」の一種なのです。
振動子とは、読んで字のごとし、音波の振動を発信する機器のこと。と同時に、発信するだけではなく、受信も行います。イメージとしては、海底に向けてボールを投げる役割と、そのボールが返ってきたものをキャッチする役割を一つの器械で行なっているということ。そのボールが返ってくるまでの時間を測定して距離を測るのが魚群探知機の原理というわけです。
そして、今まで一般的だった振動子は単周波と言って、発信する音波の波長が1種類でした。2周波のものもあるにはありましたが、これは単周波の物が1つの振動子に2つ入っているといったものでした。
ところが、チャープは、ある一定範囲内の周波数帯の中で、連続した周波数の音波を発信・受信することができるので、間断なく海底や水中の物体を捉え、より詳細な海底情報を得られるというのです。もう少しわかりやすく言うと、単周波の振動子は一個のボールを地面に投げ、その跳ね返ったボールを掴んでから、またボールを地面に投げる…その繰り返しです。一方のチャープは、色々な種類のボールを投げられるので、投げたボールが返ってくるのを待たずに次の違ったボールを投げられるから、間断なく情報を得られるという寸法です。
チャープは小魚や根付きの魚も捉えられると評判ですが、プロのアングラーは困惑顔です。
「だって、魚がいるのが明らかになると、釣れない言い訳が腕以外に無くなっちゃうじゃないですか」
なるほど。悩みは尽きないわけです。