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水も漏らさぬタフな奴、その名はハッチ。 【海の道具】

 「ハッチ」は日本語では“艙口”というほぼ船専用の漢字があてられます。“そうこう”とか“にごりぐち”と読みます。
 船倉に貨物を出し入れするため、上甲板に設けられた四角い口。車でも“ハッチバック”などというように、ハッチという言葉が使われますが、イメージとしては、潜水艦などで、がっちりとしたハンドルで閉める小窓を連想されることの方が多いでしょう。魚雷発射口などですね。
 そもそも船は人類にとって最古の乗り物(たぶん)ですから、後から生まれてくる乗り物に船由来の言葉が使われるのです。

 さて、ハッチは実際にはそこから出入いりするというよりは、空気を取り込んだり、ちょっとした荷物を出し入れするためのといったものを指す場合が多いです。
 簡易なものでは、蓋といった按配のものから、サスペンション付支え棒があるもの、密閉性の高いロックハンドルがついたものなど、ただの蓋とくくるにはちょっと複雑な機構を有したものもあります。

 なぜそうした機能が必要になるかといえば、それはひとえに水の侵入を防ぎたいから。ボートにとって、水は身近にあって、それなしではにっちもさっちもいかない存在でありながら、一方で完全にシャットアウトしたい難物でもあるわけです。

 海の道具(マリン用品)全般に言えることだと思うのですが、塩水による浸水と錆などの腐食は永遠の課題で、逆に言えばその対策ができれば、多少コンパクトじゃなくても重さがあっても許されるところがあります。
 ハッチにしても、たかだか“蓋”に高価な部材やたいそうな装置や部品を用いられています。その分、水も漏らさぬタフな奴、ということで多少の武骨さや操作性の悪さはご容赦いただきたいところです。

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