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冬に潮気を取り戻す─ 。 元気が出る、幸せの「蟹鍋」 【船厨− レシピ】

 さすがに寒い朝が多くなってきました。こうなると海に出るのも億劫になりがちです。しかしながら、寒い季節にあっても海に関わり続けたいと願っていて、せめて食卓には潮気が感じられる食材を並べたいなどと、こじつけて考える読者の方もひとり、ふたりはおられるのではないでしょうか。いや、失礼。毎度こじつけているのはこちらですな。 

 さて、冬になると、生き物が自身に栄養を蓄えようと必死になるので、それらは当然美味くなる、というのも、これまたこじつけかもしれませんが、実際に冬に旬を迎える魚介は多いのです。蟹(カニ)もそのひとつ。 

 世界には6,000種類ものカニが存在するらしいのですが、日本で漁獲され、流通しているカニとなると、それほど多くはありません。思いつくモノには、ワタリガニ、毛ガニ、ズワイガニ、タラバガニ、花咲ガニなどがあげられます。生物学上の分類ではタラバと花咲はカニではなくヤドカリの仲間なので、「日本三大蟹」というものがあるとすれば、それを除いた3つとなりましょうか。
 それでは松葉ガニや越前ガニはどうなるのだという声も上がりそうですが、これらはすべてブランド名で、元は同じズワイガニのことなんです。
 
 生のズワイガニを手に入れて鍋にしました。鍋の味付けは家庭ごとに流儀がありましょうが、ここはシンプルに昆布だしだけ。複雑な調味料の配合に腐心するなら、いっそ昆布一点にこだわってみたわけです。このシンプルな鍋の美味さはただ事ではありませんでした。ワインが料理を引き立てるのに似て、ポン酢をつけてカニの肉を頬張ると、“どばっ”というかんじで口中にうま味が広がります。生のカニであったことが良かったのかも。
 そこに寒さの厳しい日本海でカニを獲る底曳き漁船やそれに乗り込む漁師さんたちに思いをはせれば、テンションも上がり、冬眠中の潮気も目を覚まそうというものです。

 美しく優しい朱色は、クリスマスやまもなく迎える新年の食卓にもぴったりです。というのも、また“こじつけ”です。

「蟹鍋」
■材料
ズワイガニ(生)、白菜、長ネギ、シメジなど、昆布
■作り方
1)カニが冷凍の場合、水で流しながら素早く解凍し、水気を取り除く
2)鍋に水と昆布を入れて火にかける。沸騰する直前に昆布を取り出す
3)好みの野菜を入れ、殻にはさみを入れるなど食べやすくしたカニを入れる
4)カニはゆですぎないように。ポン酢などでいただく

※この記事は過去の「Salty Life」の記事に加筆・修正して掲載しています。


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