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秋刀魚の炊き込みご飯〜スペイン風。パエリア、またはパエージャとも。 【レシピ- 船厨】

 パエリアはスペインを代表する米料理として世界に知れ渡っています。日本においても例外でなく、見た目の豪快さも手伝ってか、野外料理として人気だし、休日に腕を振るい「俺様の得意料理だ」とのたまう男性をときどきお見かけします。
 スペインの米どころとして知られるバレンシア地方で生まれたこの料理は、スペインの中でもさまざまなスタイルがあって、具材はもちろんのこと、米そのものの扱い、また、地方によって、食堂(レストラン)によっても異なるようです。

 バレンシアの東方に浮かぶバレアレス諸島のマヨルカ島で、いくつかの店でパエリアをオーダーしたことがありますが、やはりそのスタイルはさまざまでした。米が少し硬めに炊かれ、焦げが絶妙に美味いパエリアもあれば、リゾットとまでいかずとも水分を残して柔らかな炊き方で出す店もありました。スペインの島の、小さな町の中ですらこんな感じなので、日本において、レシピの紹介などで耳にする「本場のパエリア」なんていうフレーズは怪しいかもしれません。そもそも米の種類からして「本場」とは異なるわけだし(スペインではバレンシア米=ボンバ米を使います)。
 だから、いろいろ試しながら「これが私のパエリアです」「これが我が家の本場です」と胸を張ることのできるのが、パエリアなのだってことでいいのではないでしょうか。日本における「カレーライス」だと思えばいいのです。「カレーライス」に本場はありません。たぶん。

 秋の味覚の「顔」ともいえる海の幸「秋刀魚(サンマ)」を使ったこのパエリアは、かなりの自信作です。イタリアンシェフによる料理の写真集に「鮎のパエリア・オレンジ添え」があったのを見てひらめきました。
 鮎の代わりに秋刀魚を、オレンジの代わりにすだちを使ってみました。高級感が一気になくなった気はしますが、いい線、行ってると思います。写真のパエリアパンは直径36cm。台所にあった日本米を2合使いました。米料理とはいえ、日本でいうところの「主食」ではないのだし、4~5人で少しずつ分けながら食べるのがちょうどいいのかもしれませんが、2人であっという間に平らげてしまいました。美味過ぎです。そして食べ過ぎです。

 なお、「パエリア」とは、もともとフライパンを意味する言葉なんだそうです。なので、この写真のような平べったい調理器具を「パエリアパン」「パエリア鍋」と呼ぶのは、韓国料理の「チゲ」を「チゲ鍋」というのに似て、おかしいのではないか、との疑問がわきます。さらにスペイン語では“paella”と書きます。耳で確かめると「パエージャ」または「パエーリャ」と聞こえます。
 筆者の狭い交友の範囲に限れば、「パエージャ」なんて口にしようものなら、思いっきりからかわれそうですが。

「秋刀魚のパエリア」

■材料(4人分)
サンマ2尾、米2カップ、パプリカ(赤)1個、ピーマン(小)2個、ブイヨン 800cc(固形ブイヨンを水に溶かした物でもよい)、サフランパウダー適量、黒オリーブ20個、すだち2個、オリーブオイル/塩/胡椒適宜
(市販のパエリアの素を使用する場合はブイヨン、サフランパウダーは必要無し)

■作り方
1)サンマははらわたを取り除き、グリルで塩焼きにする
2)米は軽く洗い水気を切っておく
3)ピーマン、パプリカは一口大に切る
4)パエリアパンにオリーブオイルをひき、米、パプリカ、ピーマンを中火で炒める。米が透き通ってきたらブイヨン800ccを加えフツフツとなるまで中火にかける
5)黒オリーブと、1のサンマをのせ、弱火で20〜25分炊き、火を止めアルミ箔をかぶせて10分程蒸らす
6)アルミ箔をはずし、強火で水分を飛ばし、好みで胡椒を振りかけ、すだちを搾る

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