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海を描いたヴィクトル・ユーゴー 【海の博物誌】
ヴィクトル・ユーゴーといえばまず思い浮かぶのが、『レ・ミゼラブル』。ロマン派の作家で、フランス近代詩の基礎を築いた詩人でもあります。
『レ・ミゼラブル』に次いで、亡命先の島で書かれた『海に働く人々』は、若い漁師の恋物語で、島の生活や海との闘いなどの現実描写がいかにもユーゴーらしく、緻密で迫力があります。
ユーゴーは1802年、ナポレオン軍の将軍を父に、王党派の娘を母に生まれました。そして1820年頃から詩、戯曲、小説を多作するようになります。その作風は母親の影響で王党派およびキリスト教の色彩が濃かったのですが、1830年の7月革命前後からは自由主義・人道主義に傾いていきます。
また、ユーゴーは優れたデッサン家でもあり、1840年頃から描き始めたといわれる絵は約500点にも及びました。インキの染みや指紋の跡を使った独特の手法により、『嵐の海』などを表現しました。
1851年に後のナポレオン3世のクーデターに反対して追放された後は、イギリス海峡のジャージー島とガーンジー島での19年間におよぶ亡命生活を送り、その後、1870年帝政崩壊とともにフランスに帰国、平和に創作活動を続け、1885年死去、国葬。フランス革命を体現した一生といえます。
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