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“鰆の旬”に混乱しつつ、“洋食”に舌鼓 「サワラのトマトソースグラタン」 【船厨- レシピ】

 うお偏に、つくりを春とかいて「サワラ」と読みます。鰆です。風情のある漢字ですね。そして、その字を知るほとんどの人が「サワラは春の魚なんだな」と思うに違いありません。「春告げ魚」なんていう素敵な雅語がごがあるものだから、なおさらです。ちなみに、「春告げ魚」はほかにもいて、メバルもそう呼ばれます。ただし、こちらは漢字で書くと「目張」。文字通り、目が大きく出っ張っているからです。
 いま、このnoteの記事に「スキ」を押すと出てくる魚にも、春ということでメバルとサワラがでてきます(ご存じなかった方はぜひお試しを)。ところが、いずれも春が「旬」というわけでは無いような気がします。自分たちで設定しておいて今さらこんなことを言うのもはばかられますが、実際に脂がのっていて美味いのは、どちらも冬だと思うのです。

 そういえば、東京の海でサワラがよく釣れるのも秋から冬にかけてという印象があります。これを書いているのは漁業学者でも何でもありません。そこに泳いでいる魚を釣るだけの、いわゆる“リアクション系”のボートアングラーなので、推測にすぎないのですが、春に産卵を控えた魚は冬に荒食いをする傾向があるのではないでしょうか。東京湾で、イワシの群れやらを追いかけてバシャバシャと捕食するサワラが見られるのも秋が多いように思えます。

 ちょっと調べた所によると、春になると産卵のために陸に近づいてくるサワラを目にする機会が増え、そこから春の魚として認知されていったらしい、との記述を見つけました。だから「春告げ魚」。冒頭で「雅語」という言葉を使いましたが、昔の日本人は、そのあたりのセンスが並外れていたと思います。

 かように、魚を食べるときっていうのは“あれやこれや”と考えてしまいます。

 さて、今回は冬の方がきっと美味いはずの春の魚をグラタンにしてみたわけですが、ここで頭の中が“あれ”から“これ”に変わります。

 グラタンというのはマカロニのイメージがあまりにも強くて、いささか教養に欠ける拙子は、深く考えることもせずにイタリアンだと思い込んでいました。まことに恥ずかしながら。

 「グラタンはフレンチだよね。ホワイトソース使ってるしさ」
これを共に食した相手からそう指摘されて、「そりゃあ、そうだよね」と納得しました。いわれてみれば名前もフランスっぽい。でも今回は、ホワイトソースにトマトソースと多めのチーズを加えたわけで。ソースの味もラザニアに近いわけで。けっきょくフレンチでもなく、イタリアンでもなく、「これは“洋食”である」と言うことで、半ば強引に意見を一致させました。

 ま、うまけりゃ、どうでもいいんですけど。いやいや、ホントにうまかったです。我ら「海の時間です。」の食卓は、いつもこんな話で盛り上がり、美味さに楽しさが加わっています。

サワラのトマトソースグラタン

■材料 4人分
サワラの切り身4切れ、玉ネギ1個、マッシュルーム1パック、パセリみじん切り 適宜、バター50g、小麦粉 大さじ4、牛乳4カップ、サラダ油 大さじ1、コンソメ1個、トマトソースまたはトマトピューレ適宜、とろけるチーズ適宜、塩・コショウ適宜
■作り方
1)サワラは一口大に切り、塩と胡椒をしておく
2)玉ネギは縦半分に薄切り、マッシュルームは軸を取り薄切りにする。牛乳はレンジで少し温めておく
3)サワラに薄く小麦粉(分量外)をまぶし、熱したフライパンにサラダ油をひき、両面を焼く
4)鍋にバター20gを溶かし、玉ねぎを中火で焦がさないように炒め、しんなりしてきたらマッシュルームを加え、さらに炒める
5)バター30gを加え、小麦粉大さじ4を少しづつ加え、中弱火で焦げ付かないように気を付けながら炒める。
6)木べらで混ぜながら牛乳を少しづつ加え、コンソメ、塩と胡椒で味を整える。適度な固さになるまで弱火でゆっくりかき混ぜる
7)グラタン皿にトマトソースを敷き、5のホワイトソースを加え、
サワラを並べ、その上にさらにホワイトソースをかけ、とろけるチーズをのせる8)オーブントースターで5〜7分ほど、チーズが溶けるまで焼き、パセリのみじん切りをちらして完成


ヤマハボート


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