歓迎される外来種「ホンビノス貝」でクリーム煮 【レシピ- 船厨】
外来の二枚貝「ホンビノス貝」。漢字では「本美之主貝」と当て字されていますが、これはローマ神話に登場する美女神「ビーナス」に由来するのだとか。
東京湾や大阪湾など日本で採られはじめたのは2000年頃からで、当初は「大アサリ」や「白ハマグリ」と呼ばれていたように、見た目がそれらの貝に似ていて、どことなくそれら本流の「まがい物」のようなイメージがつきまとっていました。
ところが、実際口に入れてみるとこれがかなり美味いのです。本当に。そんなわけで、今のところ名産とまではいかないかもしれませんが、関東周辺では新たな「江戸前」の貝として注目もされているのです。
海はすべてつながり、閉塞された水域ではないので、その指摘は正確ではないかもしれませんが、ホンビノス貝はいわゆる「外来種」です。
北米産のホンビノス貝が東京湾や大阪湾に生息するようになった理由は、アメリカから大型貨物船のバラスト水に混ざって運ばれてきたという説が有力です。こうした生物の大移動もまた、その種族が持つ生命力、繁殖力の強さなのだと見なすことはできないでしょうか。
食える魚として人の手にとって移入され、その必要がなくなると今度はゲームフィッシュとしての存在感や魅力をアピールし、人の手によって各地に放流され繁殖したブラックバスに対しても同様の考え方を示す人もいます。
生態系を大切に思うのと同時に、なりふり構わず移動を果たし、一生懸命生きているのに人の都合で駆逐されようとしている外来種がいささか不憫に思うことも、確かにあります。
といいつつ、はるばる日本にやってきた北米産の「女神」は、ここでも人間に食われる運命にあったわけなのですが。