ようするに、いわゆる「カッパ」のことなんですが。 【海の道具】
「オイルスキン」というウェアの名前をごぞんじですか? 海の世界、特にヨットマンたちの多くは、防水ウエア、つまり「カッパ」のことをそう呼びます。
その昔は、油を染みこませた綿織物を使って防水していたことが、その語源なのですが、古めかしいその呼び名が、なんともシーマンの心をくすぐります。 もちろん現代は、合成繊維オンパレードで、軽くて蒸れない素材を使った高機能な防水ウェアがたくさん売られています。懐古主義のシーマンも、さすがに油布製オイルスキンなんて羽織っていません。
フィッシングの世界など、ボートに近いカテゴリーでも防水ウェアは多くの種類がラインナップされていますが、注意してみるとヨット用とは多くの点で異なることがわかります。
フィッシング用品の場合、あくまで「雨具」としてカテゴライズされていることが多いのですがが、ヨット用では「航海着」として捉えていることが多いのです。 つまり、レインギアか、セイリングギアか、という違いがあります。実際、そうこだわるほどの事もないのかもしれませんが、オイルスキンは雨降りだけに着るわけではない点が、その機能においても大きく異なります。
顕著なのがボトムです。セーリングウェアはサロペット、つまりハイチェストタイプの吊りズボンタイプが主流です。一方のレインウェアは基本的には腰丈です。理由はいわずと知れたこと、ヨットでは腰を洋上にせり出して帆走することがあるからです。
上着も鼻まで覆うくらい高い襟がついている点が見逃せません。
雨具は上からの水を防げば事足りますが、オイルスキンは横や下からの突き上がる飛沫にも対応しなければなりませんから、自ずと、よりハードな仕様となっているのです。
つまり、手前贔屓な言い方をすれば、レインウェアの代わりにオイルスキンは用を成すが、オイルスキンの代わりにレインウェアは役に立たん、と上から目線で言いたいのでございます。 これだからヨット乗りは…、なんていわれそうですけれど、たしかに実際のところ、さりげなく「カッパ」と呼ぶ人の方が多いですね。
※この記事は過去の「Salty Life」の記事に加筆・修正して掲載しています。