Sea-Style「うず潮の海へ」【ヤマハマリンクラブシースタイル】
播磨灘と紀伊水道が交わる場所。国内でも最も早い潮流を生み、航行の難所と言われてきた鳴門海峡は、鳴く瀬戸から転じて鳴門と呼ばれるようになったそう。大鳴門・小鳴門と呼ばれる水域はボートフィッシングやクルージングなど定番の遊び方もロケーションによって楽しみ方ががらりと変わります。今回はこの徳島・鳴門エリアをご紹介します。
鳴門といえばうず潮。二つの海が作り出す潮位によってわずか1.4キロしかない海峡に、最大15メートルほどの渦潮ができ、その潮流の速さは最大で10ノットにも達するそうです。ついついこのうず潮に目を奪われてしまいますが、鳴門の魅力はそれだけではありません。今回ご協力いただいたホームマリーナ、大鳴マリーナの山上さん曰く「見どころ釣りどころの多い場所なので、きっと満足できると思います」とのこと。期待を胸に、舫いを解いてボートを走らせました。
四国の東端に位置する鳴門は、紀伊水道からの太平洋、また播磨灘からの瀬戸内海、淡路島、大阪湾と異なるロケーションが楽しめる場所で、異なる海が混じり合うので魚影の濃さも随一とのこと。また私たちが鳴門と呼んでいるのは大鳴門海筋で、この他に鳴門の島々を南北に抜ける小鳴門筋があり、一般的にプレジャーボートなどの小型の船は潮流の影響が少ないこの小鳴門筋を航行するそうです。
時間にすればマリーナから小鳴門へは15分程度。鳴門海峡を渡る航路なので他船の航行や渡し船などもあり注意が必要となりますが、周囲に目を向ければ、競艇場があり製塩工場、ドックなどもあり、そして有名な鳴門の若布の養殖風景も見られるので、ボートを走らせても変わりゆく景色が楽しめます。ちなみにこの小鳴門筋の南端にあたる土佐泊は、阿波水軍で有名な森家の本拠地となっていたところ。徳島の椿泊に移るまではこの土佐泊を拠点として活動していたと伝えられています。
またこの小鳴門筋の北側は二代目歌川広重が描いた諸国六十八景「阿波北泊 小鳴門」の面影が残るエリア。潮流も小鳴門と言われるほど、その流れは川のように目に見えます。水路の両側は深い緑に囲まれて趣もあり、適度に蛇行しているのでボートを走らせれば、その先の海への期待感は高まるばかりです。
「鳴門の海の特徴は北風が吹けば南側へ、南風が吹けば北側へと、一日何処かしら遊べる場所があるところですね。特にボートフィッシングが目的でしたら、マリーナから30 分ほどの距離でポイントが多数あります。潮の時間で釣果が左右されることが多いので、狙い通りに行けば先ず結果は出せると思いますが、釣る方の技術や経験もあるので、もし初めてでしたら、マリーナに伝えていただければ、ベテランのスタッフがアドバイスできると思います」(大鳴マリーナ・山上さん)
今回はこの鳴門の海をぐるりと巡ってみましたが、1日コースで贅沢な時間が味わえることは間違いありません。なんといっても鳴門海峡を間近で感じることができ、水運で栄えた頃の面影がどことなく感じられる小鳴門をはじめとする水路や、釣り人には嬉しい魚影の濃さ等、初心者からベテランまでそれぞれに楽しむことができます。
さらに徳島空港からも30分ほどの距離なので首都圏からの利用も候補になり、陸上には渦潮関連の施設の他、世界初の陶板名画が話題の大塚国際美術館や四国八十八ヵ所の一番札の寺である霊山寺などがあり、シースタイル+観光のスタイルが楽しめる場所でもあります。
週末、うず潮の海で戯れる。海の楽しさを知る人だけが味わえる時間を体験してみてはいかがしょうか。